仕事しない親方が、過去に根差す事件を解決する16世紀イタリアミステリ。

1545年フィレンツェ。
八人委員会の裁判官に選出された、彫金親方のジャンニ。
市民から選ばれ、4ヶ月間、刑事裁判に携わる行政職だ。
会議はサボりたいが、事件現場には割と積極的に行く。
(本業の彫金仕事をサボっているとも言う)

何といっても、ジャンニ親方のキャラがよいです。
周囲も本人も、何でコイツが裁判官? と思うような冴えないおっさん。
八人委員会は割と多忙で。
細々した事件の関係者を聴取したり、嘆願書を読んだり。
本業の依頼人がたまった仕事の催促にくるわ(←これは自分のせい)。
徒弟の一人は小金をくすね、一人は人妻に夢中で。
大きな殺人事件だけではなく、雑事が次から次から降ってくるのです。

面倒がったりサボったり、悪態ついたりしつつも。
いざとなれば、親方の観察力と頭脳は冴え渡る。
全然関係ないと思ってたいろいろな事実が、繋がっていくのは圧巻!
イタリアも歴史も全然知らなくても、とても面白かったです。

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