こんなに冴えなくてこんなに格好いい探偵役、他にはいません!!

中世フィレンツェを舞台にしたミステリー。

警察の若い役人・レンツォと、市民からなる裁判官・八人委員会の一人に選ばれた彫金師・ジャンニ親方、その若い弟子・ミケランジェロの三人の視点で語られるのですが……、このジャンニ親方のキャラクターが、飛びぬけて魅力的です!

公爵様から頼まれた仕事はやる気なし、市民の義務である八人委員会の仕事はもっとやる気なし。

でも、深い洞察力と人生経験で少しずつ事件の真相に迫っていきます。

この過程も、大小、さまざなま事件が起こり、なかなかすんなりとはいきません。

絡まった糸玉のように、読者を翻弄するようなもどかしい構成に、作者様の実力がうかがえます。

ジャンニ親方の含蓄ある台詞だけではなく、他の人物もみんな魅力的で、台詞回しがとても素敵です。

さまざまな人物が複雑に織りなす珠玉のミステリー、ぜひご一読ください!

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