概要
不思議な声を聴く力を持つ彼女は、戦乱の中、一国の女王となり、そして一人の人間として生きてゆく。
その側には、いつもマヒロの姿。
二人を中心とした、大国同士の戦い、謀略。
そこで燃焼する生命の炎と、彼らが繋ぐ明日を描く。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!読みごたえのある壮大な古代日本英雄譚
熱くのめり込めるストーリーです!
弥生時代という資料の少ない時代を表現するにあまりある作者様の深い歴史知識と
、それに加味された想像力は素晴らしく、生活や戦の様子が目に見えるように伝わってきます。
ストーリーのそこここに挟まれる作者の雑学も面白く、しかも本筋を邪魔することなく挿入されているのも良かったです。
クニ作りにかける人々の情熱が、その熱さが伝わってきます。それぞれの立場、それぞれの思い。違う立場からみる世界観とそれぞれの正義。深く考えさせられます。
そして戦闘シーンの熱さがまた素晴らしい! 戦そのものの熱さとその背景の人々の思いが重なって、ぐいぐいひきこまれます!
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!己の生を生き、己の生を死ぬ――魂の核に在る想いのままに
歴史に疎い私ですが、第一話から引きずり込まれて魅了され、気が付けば登場人物達と共にこの世界を駆け抜けておりました。
まだ国という概念が朧であった弥生時代を舞台にした、壮大な歴史小説です。
物語はヤマトの女王であるヒメミコ・サナと彼女に仕えるマヒロを主体に進んでいきますが、登場する人物一人一人に『守るべきもの』『欲する未来』『希う夢』があります。
それを命の核として燃やし、身を焦がしても尚戦う彼らの姿に、自分の魂まで震わされるような心地がしました。
ともすれば、息することすら忘れかけるほど緊迫したシーンも続きますが、時折挿入される作者様の見解や思いがこれまた良いアクセントに。
たまに…続きを読む - ★★ Very Good!!フッと思う。こんな後継者の愛憎感情が日本正史から卑弥呼を消したのかも。
読み始める前に「絶対に後悔させません」の一言を見た記憶があったのですが、読後に作品紹介文を改めてみると書いてません。耄碌した脳味噌の記憶障害かなあ。でも、兎に角、37万文字の超長編ながら、後悔してません。面白かったです。
閲覧者が37万文字から推察する通り、物語の中では長い時間が経過します。その過程で国家が形成されていくプロセスが丁寧に描かれています。私は、こういう歴史物が好きです。作者の構想力が問われるわけですが、見事に期待に応えています。
小見出しの一つに日本古代史のキーワード”倭国大乱”が有る通り、読者を飽きさせないように戦争を縦糸にして物語は紡がれます。
私の尊敬する田中芳樹先生の『…続きを読む - ★★★ Excellent!!!闇でよい。恐れるな。
一寸先は闇。
未来も、明日も、下手をしたら一瞬後のことも。誰にもわからないけれど、それでも恐れることなく、己のために、誰かのために、クニのために、進んでいく数多の人々。
想いが重なり、火花を散らし、蛇のように這う、その命達の生き様が、軽妙であり奥行きと熱さの感じられる筆致で描かれていくのは実に圧巻です。
登場人物の諸々については言うまでもなく皆愛しい人々であります。
ところで、とある事情で資料集めを行うその折り、司馬遼太郎作品に関しては何作か触れたことがあって、非常に楽しく、面白く読んでいたことがあるのですが、それを彷彿とさせる語り口も心地好いのです。
個人が色濃く滲んでくる文章をこうも自…続きを読む - ★★★ Excellent!!!絶対に守る。クニも、お前も――
率直な感想を申し上げると、『すごい作品』でした。
実際存在したかのような時代背景、登場人物。どれをとっても素晴らしかった。
この物語は弥生時代に焦点を置かれた作品でしたが、物語の序盤からその世界に引きずり込まれます。全ての状況が鮮明にイメージとして蘇り、全く当時の背景を知らない無知な私ですら理解できてしまう内容の数々。
これぞ国づくり。
そして、生きるということなんでしょう。
クニのために戦う。
ですがそれは同時に、サナのために戦う戦士たちの命をかけた紡ぎあい。
クニを繋ぐ、命を繋ぐというのは、こういうことなのだと強く感じました。
そして驚きなのが、これが作者様の処女作であるというこ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あなたが出会うなかで最も魅力的な古代日本の物語がここに
日本人ならば誰でも一度はその名を耳にし、雄大な時代への畏敬と憧憬に胸を躍らせたことはある弥生時代。「女王の名」は己が命を燃やしながらも大切なもののために生き、時に雄々しく、時に気高く、時に悲しく、そしていずれも美しく散っていった者たちの物語です。
作者さまの緻密な知識と確かな文章力で裏打ちされ、支えられた物語の、凄まじいまでのエネルギー。滾る熱は読者である私たちをも呑みこみ、物語に引き込みます。
私たちの祖先が生きた古代が、こんなにも横溢する生命の清らかな力に溢れていたとは思わなかった。女王がマヒロに彼女の名を告げるまでは。 - ★★★ Excellent!!!一気読み推奨。
この熱量。「火」を随所に取り入れた熱い描写と、冷徹なまでに傍観者となり描く作者の視点。
夢中になってしまい、休日を利用し一気読みをしてしまいました。
年甲斐もなく、かつて学生時代に通学バスや電車の中で好きな物語を食い入るように読んでいた頃の記憶が蘇りました。
とてもピュアで、そして情熱的な作品でした。
女王たるサナと、英雄マヒロを中心に、その周囲の豪傑たちや女性たちが、目の前に実在するかのように活写されています。
ある出来事について「この人物なら、こう考えるだろうな」と想像を巡らせることも楽しみの一つですが、この作品の登場人物達は見事なまでにその期待を裏切らず、確固たる人格と意思を持って困…続きを読む - ★★★ Excellent!!!古代日本を舞台にくりひろげられる、壮大な英雄譚
我が国の黎明期ーー人々は定住し、稲作を始めました。やがて、彼らはクニを創り、後世につづく社会制度を築いていきます。
これは、そんな時代、ヤマトと呼ばれたクニに産まれた一人のヒメミコ・サナと、彼女を護るべく運命付けられた少年マヒロの物語です。
諍いをきっかけに、隣国の王族の少年タクがヤマトに入り、やがてサナの妹マオカに取りいります。史書に『大乱』と記録された大いなる乱世に、サナたちは呑み込まれていきます。サナを、大切なヤマトのひとびとを護るため、『神殺し』と言われるほど強くなっていくマヒロ。
西方の大国クナやイヅモをめぐる陰謀と激しい戦闘に、生命を燃やし、散っていく男たち。そんな彼らを愛する…続きを読む