闇でよい。恐れるな。

一寸先は闇。
未来も、明日も、下手をしたら一瞬後のことも。誰にもわからないけれど、それでも恐れることなく、己のために、誰かのために、クニのために、進んでいく数多の人々。
想いが重なり、火花を散らし、蛇のように這う、その命達の生き様が、軽妙であり奥行きと熱さの感じられる筆致で描かれていくのは実に圧巻です。
登場人物の諸々については言うまでもなく皆愛しい人々であります。

ところで、とある事情で資料集めを行うその折り、司馬遼太郎作品に関しては何作か触れたことがあって、非常に楽しく、面白く読んでいたことがあるのですが、それを彷彿とさせる語り口も心地好いのです。
個人が色濃く滲んでくる文章をこうも自然に書けるのは見事。
それであるからこそ、最後の哀しくも美しい大立ち回りも映えるというもの、是非、これから読まれる皆様におかれましては、マヒロの如く、黒雷の背に乗って、最後まで一気に駆け抜けて欲しい。

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