カクヨム界隈で活躍される丹羽夏子(SHASHA)さんの代表作の一つと言ってもはや差し支えないでしょう。
蒼き太陽の詩は章そのものがメインタイトルであった連載当初の頃からずっと追い続けていますが、その魅力は何といっても個性豊かな数多き登場人物。一人ひとりのキャラクターがまさに光っています。しかも埋没している人物がまずいない。これは本当にすごいことです。
あらすじや登場人物の魅力については他の多くの方々が力説されていますので、僕はほどほどにしますが、ソウェイル、フェイフューの二人の王子の哀しくも愛に満ちた争いの物語、ユングヴィ、サヴァシュ、ナーヒドら十神剣の煌めく英雄譚など、それほどまでに本作は登場人物の魅力を語らなくして多くの魅力に溢れるストーリーを語ることはできないと思います。
また、およそ94万字(2020年1月現在)という膨大な文字数と超長編ということにも関わらず、読者を飽きさせない。これも本当にすごいことだと思います。
カクヨムにおける異世界ファンタジー、オリジナル小説の超長編大河を挙げるとしたら、私は真っ先にこの物語を推薦します。
是非、多くの人に読んでもらいたいと思います。
王座をめぐる二人と神剣に選ばれた十人の戦士、またそれを取り巻く人々、国が紡ぐ叙事詩。
かと言って仰々しく読みづらい事はなく、ラブあり、笑いあり、涙あり、恨み辛みありの読み応え!
アラビアン ゲーム オブ スローン!!
(スローンズではありません。涙)
何気なく読み始めて後悔。
先が気になり気になり、先週一週間は昼夜読み漁り、第三部完了分まで一気に読了。何度朝日をみて会社を休もうかと思ったか。。。
中東の名前や文化に余り馴染みが無く、最初は人物と名前が一致しませんでしたが、各々キャラクターが立ってて、読み進めると嫌いだった人が好きになったり、好きだった人が嫌いになったり。
二部後半〜三部前半では人間の荒ぶる感情に心を揺さぶられ読むスピードが失速しましたが後半の展開に救われ、ここに行き着く為の必要な描写なんだと納得しました。
いやーー、六歳の少年が成長していく過程と数多の魅力的なキャラクターに翻弄され、楽しませていただきました。
思わず、書籍化されてないか検索。残念ながら無いようなので、暇をみつけてまたじっくり再読させていただきます。
(先が気になり駆け足だったので)
作者さま、楽しい読み物を有難うございます。
寒くなってきたので、身体にはお気をつけて冬を乗り切ってくださいませ。そして、第四部連載開始は未定との事ですが、気長にお待ちしております♫(リリちゃん❤︎)
興奮のあまり、長々レビュー失礼しました。
蒼い髪の王子が生まれたとき、王国は太陽に繁栄を約束される――。
そう言い伝えられるアルヤ王国に「蒼き太陽」が生まれた。その名はソウェイル。しかし、彼は双子だった。金髪の弟の名はフェイフュー。彼らが6歳になったとき、王国は戦火に包まれる。王都陥落の日、伝説の神剣を抜くことができた「十神剣」の1人である少女将軍ユングヴィは、ソウェイルを連れて脱出を試みる。
フェイフューは敵の占領下で養育されていた。月日は流れ、彼を王として国を再建しようとする人々が動き出す。しかし「蒼き太陽」は生きていた……。
近世の中東を思わせる架空の世界で繰り広げられる、壮大な物語です。
ファンタジーでありながら、国の制度、文化、言語、衣服に至るまで、きめ細やかに設定されていて、実際にそんな国があったんじゃないかと思わせるリアリティを持っています。政治的な駆け引きや戦乱、暗殺など、シリアスな場面も多い一方で、女子会を楽しむかのようなのどかな回もあり、知性とユーモアのバランスが良い感じ。
個人的に、この作品で好きなのは、キャラクター同士の人間関係です。
作中で9年の時間が経過しているんですが、6歳だった双子は15歳のイケメンに成長し、16歳だったユングヴィは25歳のお姉さんになり……。キャラクターの成長に伴い、性格や直面する問題が変わり、人間関係も変わっていく。作者さん自身が、いろいろな場面や思いを経験して大人になった人だろうな、と分かる感じです。
週2回の更新なので、まだまだ追いつけます。今のうちにどうぞ!
第一部を読了しました。
この作品については冷静なレビューが書けそうにありません。
それほど素晴らしかったです。
★を付けることもすっかり忘れていました。
第一部はサヴァシュが特に良いです(主役ではありません)。
コメントにも何度か書いてしまい、どんだけ好きなんだと自分でも思いますが。彼の活躍には大興奮でした。
しかしサヴァシュが引き立つのも、周りの個性豊かな登場人物あってこそです。
登場人物はとても多いのですが、作者様の書き分けや登場させるタイミングが見事なので、迷子にはなりません。
どの人物もとても魅力的で、それは、長所・短所・その人物の来歴や考え方・周囲との人間関係が、余すことなく描写されているからだと思います。
物語の中で何が起こっているかは、是非読んで確かめてみて下さい。
さて、この作品を語るにあたって、まず最初に私事を述べることをお許しいただきたいと思います。
先日、某所において。とある方が、私について「情の人だ」という風に表現しておりましたところ。
どちらかというと理性と調和を尊ぶきらいのある自身ではありまして、ウマル(この、底知れないこの魅力を持つこのお人こそ……)、ナーヒド(純粋培養且つ正しいことを是とし皆と対等でいるつもりであるのが非常にかわいいと思ったりします)やフェイフュー(背伸びをしつつ聡明であろうとし、それでも年相応の子供であるこの風貌たるや!)、ラームテイン(頭の切れる美青年は至高にして嗜好です)の在り方こそ、為政者としての理想(ついでに私の性癖)と感じることが大いにあります。まさに理の美。
が。
刺さる刺さる。
決して鋭くない、時にコミカルなその言葉が、水面に一滴落ちた先から、文章の枠組みを超えて、大きなうねりとなって。全部が全部私のやわらかい所に刺さっていく。
ユングヴィの苛烈さ、ひたむきさ、ひとりのひととしていきているその姿の、なんという、なんたる、うつくしさ。
澄んだ蒼穹の如し、ソウェイルの問い。
バハルが見て、触れてきた哀しみと、それでも未来のために在ろうとする心。
エルナーズが抱えるようになったのは果てを知らぬ宇宙の闇かもしれない。
様々なものの板挟みとなって苦悩することの多いであろうテイムルはきっと、誰よりも国の為に。
ベルカナ、カノ。そうしなければいけないという文化と伝統の虜囚となっても、救おうとする手を伸ばさないという選択肢などないように。
サヴァシュ。あなたが今まっすぐに腕を伸ばし、まっすぐに見据えているもの。
そう、生まれも育ちもみんな違う。みんな正しい。みんな正しいことを言っている。それもしっかり理解出来る。だけど、それ以上に、この大きなうねりは刺さるのです。物語という言葉の範疇を超えて、私は一兵士となって彼らのやり取りをその場で見ていたり、ユングヴィと同化して、一緒に泣きながら笑ったり、根拠のない希望や不安に身を任せてみたり。今もタイピングを続けながら泣きそうになっていたり。
どれだけ虐げられても、どれだけ打ちのめされても、何度も立ち上がってくる個人の想いが数多寄り集まって、おおきなおおきな流れとなっていくことを。
その意志が歴史を紡いでいく。
衣食住をほっぽり出してのめり込んだのは久方ぶりのこと。
料理をする気もなく、昼食を調達する為にコンビニへと向かう寒空の下、吹き付けてくる風を涼しく心地良いと思うくらいに、知らず知らずのうちに内にこもる熱を溜め込んでいたことに気付いたのでした。
私が情の人である、というその方の見立ては実に正鵠を射ている、と感じ入った次第であります。
歴史的にも、文化的にも周辺国を圧倒し、一目置かれる偉大なる王国アルヤ。しかし、砂漠に咲く薔薇と讃えられたその首都エスファーナは、異民族サータム人の侵略を受けついに陥落してしまう――そして、王国の最盛期を築き上げる王ソウェイルの、彼の養母ユングヴィの、神剣に選ばれし将軍たちの群像劇が始まった。
なんということでしょう!! これはもう、国王の双子の王子の片割れ・初代国王と同じ蒼き髪持つ「蒼き太陽」ソウェイル王子の行く末を、王妃によって彼を託された少女将軍の活躍を鼻息を荒くして見守るしかないじゃあありませんか!!
この物語は群像劇です。第一部は同じ「将軍」でありながら立場も考え方も異なる様々な人物が登場し、様々な視点で語られています。
ある人物にとっては正しいことが、ある人物にとっては正しくない。また語る人物が違えば、同じ人物が別人のように思えたり……。
私はこの物語の魅力を表すのに、ペルシャ絨毯のようという形容を用いたくなります。様々な色で織りなされる、鮮烈で壮麗な物語。鮮やかでありながら趣があり、しっとりとした品がある。
織りだされたばかりの蒼き太陽を巡る者たちの物語。その完成までを、あなたも一緒に応援しましょう!!
まー頭の悪い一言から始まるレビューでまことに申し訳ないのですが、いやでも本当にこの作品、あああぁぁぁあああ!!!!…って、なります。
そしてイヤァァアアアア!!!!…って、なります(前にエンダァアアアアア!!!!がつくこともあります)。
最終的にいろんな意味で胸が熱くなります。
このレビューを書いている時点で第5章のラストまで公開されており、きっとまだまだ序盤なのでしょうが、すでに感情が揺さぶられすぎてやばいです。
とにかくやばいです。
生きている。そう、生きているんです。
登場人物はもちろんのこと、物語そのものが!
理不尽ともいえる栄誉ある運命に、ときに従順に、ときに抗い、ときに戸惑い、それでも生きてゆく登場人物たち。
その生き様に、叫ばずにはいられない。
あなたもぜひ、このおそろしいほどの感情の津波に流されてみてください。
そして叫びましょう!さあ!ご一緒に!!
王位とは、勝ち取るものなのか、与えられるものなのか。
それともそれは、初めから決められた定命の範疇にあるものなのか。
幼い双子は、全く違う環境のもとで全く違う成長を遂げました。
この二人が並び立つことが出来れば、と責任を持たない読者の立場では思ってしまうけれど、いずれ争わねばならない宿命を背負わされます。
それぞれ違う魅力があり、違う素養を持った人間を惹きつける。
ひとの心を射止めることが王の資質であれば、ここのつの男の子ふたりは既に、ひとかどの王なのでしょう。ソウェイルにも、フェイフューにも、王として立つだけの輝きがあった。だからこそ、だからこその悲劇なのかもしれない。
避けることの出来ない双子の戦いは未だその戦端を開かれてはいないけれど、彼らを取り巻く人々の中に片鱗が渦巻いていて。
狭い世界で生きることを許されない、ということ。どうしたって渦中のひとにならざるを得ないということ。それが王座に近しいものの宿命だというのなら、それはとても残酷で、苦しくて、だからこそ足掻く姿のうつくしい、そんなお話です。
神剣によって選出された神なる将軍たちもすごく素敵なキャラクターばかりで最高に素晴らしく頼もしく、何より掛け合いが軽妙で楽しいです!イチオシは黒将軍サヴァシュさんです!
なんでもするので4章11話まで読んでください。なんでもするので。
王冠は『蒼い髪』に微笑む。『蒼き太陽』を映した、うるわしい色へ。9歳のソウェイルは「王になりたくない」とユングヴィに願う。けれどそれは果たされない。なぜなら、ソウェイルの髪も、瞳も『蒼』に染まっているから。この国を守る太陽と、同じ色。彼の中では「ただそれだけ」の理由で。民は心から『蒼き太陽』が、なくしかけた国に再び昇ることを信じている。でも、ユングヴィが信じたのは、王として願ったのは一緒に暮らした『ソウェイル』だった。おなじようでちがう、祈りの行方の先にあるものはーー。
戦う女の子ユングヴィ、双子の王子ソウェイルとフェイフュー、ユーモアかつやり手なおじさまウマル、色々と濃い十神剣のお歴々、2章からは〝特殊な職業〟を担う14歳のラームティンが加わって、どうなるアルヤ!
九歳の双子の王子、ソウェイルとフェイフューが再会する時、物語は大きく動き始めます。
三年前にサータム帝国がアルヤ王国を事実上征服したことにより、一端はかりそめの平和を得ていた両国の関係が揺らぎ、再び戦端が開かれます。
愛する人、平和への願い、国を思う心、それぞれの大切なものを大切にしたいという願いをもって、悲しい戦争へと突入して行きます。
王子達、側近達、そして十神剣に選ばれし英雄達の思惑。敵国にもうごめく陰謀。
どれをとっても素晴らしい戦記ものにして、登場人物それぞれにスポットを当てた群像劇です。
きっとこれからも様々なエピソードが盛りだくさんのはず。楽しみです。
(第一部 第四章まで拝読してのレビューです)