冤罪、裏切り、自爆テローー通っていた女学院からある日突然連れ出された義足の少女には、行く先行く先で災難が絶え間なく降ってきます。生き抜くことの難しさに打ちひしがれる少女は、いつのまにか自ら命綱を掴み取り、ただ巻き込まれるばかりの運命に自分から進んで「足」を踏み入れていく。その変化は、あまりにも鮮やかで劇的でした。
読者が暮らす日常にも、無数の理不尽が降ってきます。この物語のように直接命の危険にさらされなくても、ある日突然起こった事件や事故に思い当たらない人はあんまりいないのではないでしょうか。
そんな時、私たちは「どう生き抜けばいいのか」。その答えの一片を、この物語の主人公・ユリアナは示してくれます。生き汚いって、悪いことじゃない。勇気や覚悟はいつでも必要だけど、その先に必ず希望がある。行く手の見えない不安の中に、きらりと光る「運命の糸」を探すユリアナのたくましい姿が読者の胸に迫ります。私は彼女に、現実を生きていく勇気をもらいました。
そして、この作品の魅力はそれだけにとどまりません。綿密に仕組まれたストーリーにわくわくして、次々ページをめくってしまいます。いつも自転車で通う道を、この話の続きを少しでも読みたいがためにバスで往復した日があったくらいです(笑) 現実世界の中東周辺を舞台にした、ちょっと照れちゃうような恋愛あり、胸躍る冒険ありの遠未来ファンタジーです。予備知識なく読んでももちろんとっても楽しく、勉強にもなるのですが、世界史をかじったことのある方は聞いたことのある名前が出てきて三倍楽しめます。
私はこの物語にたくさんのものをもらい、たくさんのものを掻き立てられました。次は、今からこの物語のページを開くあなたの番です。読み終わる頃にはいつのまにか、「どこまでも歩ける足」を登場人物たちにもらっていることでしょう。
一人の少女がプリマとして舞台に立つまでの物語(比喩)。
戦争という舞踊曲を盛り上げるのは、拵えられた美しい義足。
ビゼー作曲、ギロー編曲の組曲『アルルの女・ファランドール』を聴きながら読むのが最も相応しいかと思います。他にもファランドールあるかもしれへんけど取り敢えずこれで(何万回も言えるラブユー♪ってやつが脳内再生されますけれど原曲について言及します)。
そう、主人公ユリアナの抱く姓がファランドールで、確かその単語は舞踊曲のタイトルじゃないかな、と思い出して、軽く調べて頭を抱え、そして震えました。
楽曲の来歴が、あまりにもこの作品にぴったりだったから。
重々しい短調のメロディーでズンと響くのは『三人の王の行列』。他にも解釈は可能だと思いますが、まるで、義足に直接関わった三人の人物(ネタバレになるので名前は伏せます)を象徴しているかのようだ、と一番に思いました。作中にもしっかり王は登場します。尤も、本当の意味の三人の王とは、イエス・キリストの降誕を祝う東方の三賢者なのですが……神がいない、というような台詞が作中に出てきますが、それが余計に象徴的に思えます。じゃあ神って何なんだろう、っていうのは、これは読んだ人こそ考えるべき部分なんだろうなあ、と思ったりするので、私がここで言及するのは野暮ってもんです。
長調で軽く、流麗に耳を擽る『馬のダンス』。馬と言われれば私が想像するのは戦争です。作中でも、登場人物たちが馬で移動しています……日本語では『馬のダンス』に関する情報が少なく、フランスのプロヴァンス地方の民謡ということしかわからず、気の利いた何かと結び付けるのが私にとっては難しすぎた……というのが惜しいところですが。でも、『かくして、少女は死と踊る』っていうタイトルにもふんわり繋がってくるような気がしてきませんか?
ファランドールは、ビゼーの遺した曲を、彼の親友であったギローという人物が組曲として編曲したもののひとつだそうです。編曲されたファランドールは、三賢者の短調から始まりますが、明るい馬のダンスがその間に挟まり、その二つの旋律は交代で登場して、最後には合体して、華々しい長調で締めくくられます……まるで、この物語のラストにおける主人公ユリアナを象徴するかのように。失われたもの、受け継がれていくものと受け継いでいく人々の想いが、この物語にも込められていると感じたのでした。
このレビューを読んだ方は、この物語をすぐ読んで、それから以下のURLを踏んだらいいんじゃないかなと思います。ファランドールのことが載ってるから!
https://www.nhk.or.jp/lalala/archive151121.html
タイトル、白鳥と黒鳥、家の名前、主人公ユリアナ。全ての役割が何から何まで見事に調和した構成の巧みさと凄まじさ、それに深みを与えるキャラクター造形。いい歳をした美形の青年がプライベートで大きなクマちゃんを抱いてるのは単なる笑いどころじゃないんですよ……物凄く可愛いですけれど。
そこのあなた、取り敢えず読みましょう。
すみません、どこに振り込めばいいんですか?
え?無料?
web上で??全部無料で読める??
…………お前さんは何をバカなことを言ってるんだ!!??
全世界の出版社の人々よ!!この作品を書籍化しなさい!!今すぐに!!!!
ハリー!!ハリーアップ!!!!
……と、大興奮するほどの傑作です。これは本当に無料でいいのか。いや、よくない。出版されるべきだ。
私はこんなに完成度の高いweb小説を今までに読んだことがありません。
むしろなんで無料なの??ホワッツ??
何度でも言うけどどこに振り込めば出版してもらえますか??
ジャンルとしては、SFになるのだと思います(「恋愛」カテゴリになってはいますが。いや、恋愛もしっかり美味しくいただきましたご馳走様です、紛うことなき愛の物語でした)。
もうそのストーリーそのものは勿論、世界観、伏線の張り方、その回収の巧みさ、キャラクター、演出、そして文章力。すべて!どこを取っても!!「え、なにこれやばい……」としか言えない素晴らしさ!!
やばい。
もう一度言います、やばい。
私は最初の方を少し読んでから、「これは完結してから一気に拝読したほうがよさそうだわ…」と思って完結したその日にソォイ!!と一気読みしたのですが……その判断は正しかった!!と、思う!!たぶん!!いや、リアルタイムで追いたかった感もすごくある!!どうすればいいんだ!!
だがしかし、だかしかし。一気読みしたことにより、もう本当に「やばい」としか言いようよない感覚に没入しきってマジやばい状態になったので、リアルタイムで追った方にも改めての一気読みをオススメします。
まだ読んでないあなたは今すぐに読むんだ。オーケイ?
もうなんかこの感覚を味わっていただきたいので、あえてストーリーとかには触れないでレビューを書かせていただきたいんですが、ねえほんと、読んで?
その世界観や全容がわかってくるごとにどんどん奥に入り込んで逃れられなくなりますから。ゼロ知識の状態で、読んで??
とにかく読んで??
まあそんなわけでレビューと呼ばないレビューになってしまいましたが、言いたいことはこれだけです。
読んで。
そして書籍化されて。
まず最初に驚かされたのが物凄い文章力。
一人称のテンポのいい文体から見せられる情景はハッとするほど綺麗で、主人公の内面も切なさを呼び込んでくる。しかもちょっとした仕草、表情、容姿からそこはかとなく感じられる美しさはエロスも含んでいて、なんというか全部が輝いて見えるのです。
本作の魅力はなんといっても主人公ユリアナのキャラクター。
大人たちの策謀の中でもがくユリアナはとても芯が強く、信頼を裏切られながらも立ち止まることはない。逆境を撥ね退けようとする逞しさが読者をぐいぐいと物語の中に引っ張り込んでくれる。
他にも一癖ありそうなキャラクター達が、それぞれの思惑を持って動いているのでハラハラする展開が待ち受けています。
決して少女小説の枠に因われない大作だと、個人的には太鼓判を押せるつもりです。
是非とも読んでみてください。
「恋愛」や「少女小説」の冠に、良い意味で裏切られました。
ハリウッド映画的なジャンルでしたら、バイオレンス・アクション・ロマンティック・アドベンチャー的な感じでしょうか?
後半になればなるほど、映画的な映像シーンが続きます。
物語はユリアナの1人称で進みます。
1人称ですが、良くある「共感しやすい主人公」とは一味も二味も違います。
最初、なぜユリアナちゃんがこんなに強い(ある意味偏屈)のか不思議に思いましたが、物語が進むにつれて、彼女の過酷な過去が明らかになっていきます。
出てくる人物ほとんどが何かが欠けている。それぞれが、それを補いたい想いから、他人に依存したり、自立しようとしたりする。
3人称視点ではわからない、人の心のゆがみをユリアナ視点で答え合わせをしながら、穏やかではない物語の波に激しくのまれ、終着点にたどり着きます。
面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。
どんな苦境にも負けない少女と言うと、どんな少女を想像するだろうか?
本作の主人公ユリアナは、おそらくその想像にぴったりな、それでいてとんでもなく型破りな存在になること間違いない。
以下長々と書くが、このレビューを読む暇があったら本編を読んでほしいと言い切れる作品が、本作『かくして、少女は死と踊る』である。
反逆罪の嫌疑をかけられ、帝都へと連行されるユリアナに降りかかるのは、理不尽の過ぎることばかり。美形軍人に踏みつけられ、蹴られるのはまだいい方で、大好きな後見人にもらった義足すら無くしてしまい、果てには消えない傷までつけられる。
ユリアナがすごいのは、この理不尽の雨をくらっても、決して生への渇望を切らさないところだ。落ち込んだり、彼女なりに悩んだりはするものの、次の瞬間には、強気で生意気で聡明なユリアナは復活している。しかも、より人間として成長しながら。
そんなユリアナを見ている読者に、何故か力が沸き起こってくるのは間違いない。理不尽の中にさらされた現代人の心にも、不屈の勇気が芽生え始めるのだ。(ちなみに私もかく死を読んで仕事を辞めた)
そして、勇気だけではなく、尊敬や優しさまでよみがえってくるのが、この作品のものすごいところである。
様々な思惑を抱えた豊かなキャラクターたちが、魅力的過ぎるのだ。
彼らの誰ひとり、流されて生きてなどいない。叶えたい夢や、逃れたい現実に直面しながら、信念を持って戦う彼らは、ユリアナの視点から見ても(利害が一致していたのなら)尊敬に値する存在なのだろう。敵対したり、共闘したりする中から、ユリアナは自分の無力さ、欺瞞、弱さにも向き合い、成長していく。
読者の中には、いわゆる推しキャラがたくさんいる人も多いだろう。それだけ、魅力的なキャラクターが多いのだ!
そしてこの骨太激アツ青春小説を少女小説たらしめているのが、ユリアナを囲む男性キャラ陣である。超絶美形だがユリアナをドアマットにするクラエス、大好きな優しい後見人だったはずが、ユリアナの苦難のきっかけになったバラド。謎の多い2人がもたらすときめきに、読者もユリアナと一緒になってドキドキすること間違いない。
さて、ここまでレビューを読んだにもかかわらずまだ本編を読んでいない方が万が一いたら、まずはこう言おう。
今すぐ『かく死』を読め!!!!
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さて。このレビューを最初に書いたのは、『かく死』が中盤の頃だった。
今、物語は終盤も終盤だ。ここまで読んできて、私は上記の前のレビュー時点では考えられないほど、心が揺り動かされているのをのを感じている。
あの時点ですでに驚くほど面白かったというのに……。
『かく死』の登場人物たちの過去や思いは砂漠の嵐のように吹きすさび、濁流のようにうねって、ここまで来た。
全ての謎と、思いの先にある物語の終わりを、ユリアナとともに迎える日を待ち望んでいる。
繰り返しになるが、万が一未読の人がこのレビューを読むことがあれば、これはいいから一秒でも早く、『かく死』を読んでくれ……!
まず本作は、痛快でハッタリの効いた、優れたエンタメ性を備えた少女小説であると言って間違いありません。我々とは異なる歴史を辿った世界線、クテシフォンを首都に据えた巨大な「帝国」を舞台に、個性豊かでケレン味あふれるキャラクターたちが西へ東へ大活躍します。彼らが各々異なる行動原理と価値観を持って動き、物語を転がしてゆく様は、まさに圧巻の一言。
一方で本作のもうひとつの大きな魅力は、テンプレ的なキャラ類型には到底おさまりきらない、複雑な人物造形が随所に散りばめられている点です。記号化されていない生々しい心情のゆらぎや、思考/感情/行動の間に矛盾をはらむ複雑な人間性を、高い濃度と精度でもって味わうことができます。
主人公の思考/感情/行動のあいだに次々生ずる様々な不協和を、彼女はいかにして解消するのか、あるいは解消しないのか!?…という点が、物語上の重要なフックであると同時に、メインドラマのひとつとなっています。彼女の前に「難題」が立ちふさがるごとに、読み手は主人公と一緒になって狼狽し、考え、彼女の選択に寄り添い、また「自分ならどういう選択をするか」と思いを巡らせてみたり…するとかしないとか。(わたしはする)
本作を読みはじめてすばらしいと思った点は、筆者がこの物語の語りの視点として一人称を選んだことです。
読者は必然的に、まだ十代半ばの少女のやや狭窄な目線を通して物語世界を覗き込むこととなります。不条理な世界へ放り出されて右も左もわからない不安と混乱、そこからどうにか世界のりんかくを掴み取ろうともがく彼女の痛み、苦しみ、勇気、熱量…そうしたものが、一人称視点の語りをとおして読み手の心に直に伝わってくるのです。
たとえば主人公と同年代の読者が本作に触れたなら、ユリアナの不安や恐れ、勇気や決断を、そのまま「私の物語」として読むことができるかもしれません。また、社会人が読んだなら、「かつてのゆらぎ」が蘇り、そこに新たな意味を見出したり、勇気づけられたり、慰められ癒やされたりするかもしれません。そのうえで、もう一度フレッシュな目で世界を見つめ直す機会を与えてくれるかもしれません。…いや、社会人だって常に新しい次元へ向かって歩み続けねばならないわけで、そこに広がっているのはたいてい「未知の」「不条理な」領域であるわけです。全然「過ぎた時代」のことなどではありません!
ユリアナ頑張れ!私も頑張る
まだ序盤ですが、かつて読み漁っていた少女小説群を思い出す空気感が深々と突き刺さりましたので、僭越ながらレビューを書かせていただきます。
辛辣な美貌の軍人や謎めいた後見人、そして主人公を立て続けに襲う苦難の数々……かつて少女小説が好きだった方は間違いなく感じるところがあると思います。ぜひ、ご一読を。
タグの「ドアマット系主人公」とは一体なんだろうと思いましたが、読んでみてよくわかりました。思った以上に主人公がドアマットされるので、そこは少し心の準備が必要でしょうか。
しかし、数々の愛すべき少女小説で描かれてきたように、少女であるということは、形はどうあれ痛みを伴うものであるかもしれません。
死の商人となれ、鉄の心を持て。
主人公ユリアナにかけられる言葉は厳しく、いまの彼女が持たないものを容赦なく求める。愛するひとや彼女がおさめた優秀な成績とともに今まで歩んできたその足が、「これから」少女に歩ませる道の厳しさたるや。
美貌の軍人がかたわらにあろうと、優しい後見人がひそかに支えようと、ユリアナに突きつけられるのはいつも人はひとりであり、誰も信じてはいけないという冷徹な現実だ。16歳、女学院で学び「これから」の日々を信じて疑わなかった彼女に降りかかるのは俄かには信じがたい事実ばかり。
容赦なく少女を踏み躙るのは軍人の足などというなまぬるいもののみならず、優しい過去までがユリアナに牙を剥く。
ユリアナはなすすべもなく、彼女のあずかり知らぬ事情により蹂躙されるが、彼女の心は折れない。どころか、己を取り巻く現実を知ろうと努め、その足で立ち上がる。物語にありふれた構造? そう言われても構わない。それが16歳の少女であり、わたしたち女児の求めてやまない物語の主人公のすがただ。
彼女は立ち上がる。歩み出す。そのすがたをいま追いかけることの出来る喜び。地を掴み一歩一歩頼りない足取りで進むユリアナを想像するとき、いつもその瞳は強くはげしい光を湛えているのだ。
わたしは作者のファンだが、このようなバチバチのエンタメを書くかただとまったく思っていなかったために非常に驚かされた。とにかく面白い。各話ごとに盛り込まれるエピソードはそれぞれ粒立っていて更新のたびにワクワクする。さらに引きが強い。次が気になるのだ。
そして特筆すべきはサービス精神。だいたい美貌の軍人と優しい保護者(っぽいもの)に挟まれる絵面からして、個人的には読まない手はなく、読み始めれば腑抜けた顔で「どっちが好きかな〜?」と言いはじめる……のは正直もうわかりきっていた。(クラエスが好きですと書こうと思ったけれど最近バラドもアツいです)
ユリアナに、クラエスに、バラドに、あらゆる人物に隠された謎や思いに惹かれてやまない。キャラクタたちへのこの関心や胸ときめく数々のシチュエーションがてんこ盛りにされたサービスたっぷりの本作を楽しまないという選択肢がない。
しかしながら最もこの作品を好ましく思う点は、素敵なメンズに挟まれてなお、ユリアナが鉄の女を目指してひとり驀進するすがたである。打ちのめされ立ちあがり歩みだすそのとき、ユリアナの手はきっと固く拳となっている。その手はいずれ開かれるのか、なにを選ぶのか。
二人の男と一人の少女、という文句から想像する絵面と実相のギャップこそかく死の醍醐味だ。
つぎの更新が、完結が待ち遠しい。
全ての少女(あるいはかつて少女だった全ての人)に目を通していただきたいのが、「かくして、少女は死と踊る」です。
この物語の主人公たる、成績優秀にして眉目秀麗な女学生ユリアナ・ファランドール嬢は、のっけからイケメンに足蹴にされ、身に覚えのない罪への関与を追求されています。そしていたいけな女学生ユリアナは女学校から無理やりに連れ出され、謎の軍人たちとの砂漠の旅がスタートするのです。
物語開始から十五行を待たずして、イケメンにドアマットにされる主人公。これ以上の衝撃が少女小説界にあるでしょうか。
この物語はまるで禁断の知恵の実。一口齧れば、今いる世界にいられなくなってしまう。アダムやイブとこの物語の読者が違うのは、待ち受けるのは艱難辛苦だらけのこの世ではなく新たな楽園だということです。私たちが足を踏み入れる新世界。その名は、ドS軍人×ドアマット系お嬢様の萌えのパラダイス!!
遍く砂漠に照り付ける太陽の光のごとく主人公に降り注ぐ受難と苦難は凄まじい。ですが彼女は、どんな時もしなやかに「己」を保ちつづけ、厳しい世界と戦ってゆく。
そんな彼女は見渡す限りの荒野でただ一輪、凛と咲き誇る白百合のよう。温室の薔薇も良いものですが、厳しい自然に毅然と立ち向かう野の花の趣と誇り高さは格別です。主人公の闘争を見守っていると、現代社会に飼いならされる過程で失ったはずの野生や、闘争本能がメラメラと燃えたつのを感じます。もちろん甘いときめきも。
少女小説。それは少女のために書かれた小説。
少女に必要なエッセンスがぎゅっと詰まったこの物語で、あなたも新たな素晴らしい世界に旅立ちませんか?