こういう作品が読みたかった!

「恋愛」や「少女小説」の冠に、良い意味で裏切られました。
ハリウッド映画的なジャンルでしたら、バイオレンス・アクション・ロマンティック・アドベンチャー的な感じでしょうか?
後半になればなるほど、映画的な映像シーンが続きます。

物語はユリアナの1人称で進みます。
1人称ですが、良くある「共感しやすい主人公」とは一味も二味も違います。
最初、なぜユリアナちゃんがこんなに強い(ある意味偏屈)のか不思議に思いましたが、物語が進むにつれて、彼女の過酷な過去が明らかになっていきます。

出てくる人物ほとんどが何かが欠けている。それぞれが、それを補いたい想いから、他人に依存したり、自立しようとしたりする。
3人称視点ではわからない、人の心のゆがみをユリアナ視点で答え合わせをしながら、穏やかではない物語の波に激しくのまれ、終着点にたどり着きます。

面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。

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