第一部読了時のレビューです。
こちらは「桜咲く!ハイスクール武士道」という、
作者様の作品の番外編にあたる作品ですが、
読んでいて凄いと思ったのは、現代から幕末に舞台を移したことで、
現代とはまた違う形で登場人物たちを輝かせているところです。
たとえば豪太は現代では留年していることもあり、強いけれども試合などに出れず「バカの方が目立つ」印象でしたが、
幕末ではその制約はなく、常に大暴れして強さや頼もしさ、大物ぶりを見せつけ、
田中は、現代では剣道の実力や人柄的にあまり前に出ず、他のキャラの影に隠れている場面が多かったですが、
幕末ではその時代の知識を活かして、涼介と共にこの時代での立ち回り方をリードする側に回っています。
書く側も読む側も一度「このキャラはこういう役割のキャラ」だとイメージがついてしまうと、なかなかそれを変えるのは難しいですが、
この作品では舞台を変えることで新たな一面や魅力を引き出しています。
「桜咲く!ハイスクール武士道」の時も感じましたが、
作者様の登場人物を一人一人主人公並に輝かせる筆力は本当に素晴らしいと思います。
また、幕末ものなので、当時の時代背景や事件などの時事をしっかり調べ、
それに基づいた偉人たちとの絡ませ方も巧みで、
ここまで成立させるのに、どれだけの労力を要したのか想像すると頭が下がります。
当然ながら、剣道を題材にしている作品なので、作中の戦闘描写も迫力満点!
全てにおいてレベルが高いので、読者の方も作者の方も、ぜひ一読ください!
あらすじを一言で表現すれば、「剣道部員である五人の高校生たちが幕末にタイムスリップする物語」です。
この概要だけ読めば、不安を抱える人がいるかもしれません。高校生が幕末にタイムスリップして上手くやっていけるのか、ひょっとして安直な展開になってしまうのではないか、と。
しかし、そうであはりません。
だからこそこの物語は読む手を止めさせないのです。
プロットを破綻させることもなく、幼稚にさせることもなく、物語をしっかりと支えているのは、歴史と剣道に関する著者の豊富な知識であり、個性的なキャラクターたちであり、軽妙でありながらも簡潔に情景を伝える文章力であると言えます。
まず、高校生が幕末にタイムスリップした場合、寝食はどうなるのか?
坂本龍馬の暗殺を止めてしまったらどうなるのか?
仲間の一人が新撰組に捕らえられてしまったらどうなるのか?
知識がなければ考えられないでしょうし、想像力がなければ答えられないでしょう。しかし、物語はこれらの事件が次々と起こり、著者はそれに対する説得力のある回答を打ち出し、読者を飽きさせることなく、物語の中へ惹き込ませています。
その物語の軸となるのが、剛腕すぎる主将、女子高生として日本一の実力を持つ美少女剣士、歴史オタクの部員などの個性的なキャラクターたちです。彼らの、時にはコミカルであり、時には手に汗握るやり取りがなければ、物語は進みません。彼らの一人はとても強く、もう一人はただ強いだけではありません。今から読まれる方は、ぜひそれを読み取ってください。
そして、竹刀さえも一閃するようなその文章力を、ぜひ味わってください。
幕末の京都。
言わずと知れた日本の歴史の大きな転換期の中心となった舞台です。
そこに現れたのはどう言うわけかタイムスリップしてしまった現代の高校剣道部5人。むやみに歴史を変えてはいけないと肝に銘じ、迂闊な行動をしないよう心がけます。
一人を除いては……
ネタバレになるので伏せておきますが、スタート直後からいきなり歴史は大きく狂ってしまい、彼らもその大きなうねりに飲み込まれてしまいます。
この話の魅力は、敵味方問わず登場人物がとにかくカッコいいんです。幕末の京都だけあって歴史に名を残す有名人ももちろん沢山出てきます。そして高校生五人も、それぞれがそんな猛者たちに負けないくらいの存在感を持っているのです。
いかに剣道をやっているとはいえ、現代の高校生が幕末の京都で何ができるのか?そんな疑問を抱きながら読み始めたはずなのに、読み終わった頃にはこいつらなら大丈夫といった、不思議な魅力と期待感を持って彼らの事を見るようになっていました。
時に笑って、時に手に汗握る。時空を超えた一大活劇となっています。
突如幕末の京都にタイムスリップしてしまった高校生の剣道部員五人。
現状を把握した彼らは、迂闊な行動をして歴史を変えないように注意しようと誓いを立てるが……
「バカ犬がいきなり歴史を変えやがったーーーーー!」
一人のうっかりさんのせいでおかしな事態になっちゃうわけです。
歴史が変わって、近江屋の襲撃を生き延びた坂本龍馬。不審な一団がいると、剣道部の面々を怪しむ新選組。歴史上の事件や偉人を交えて、様々な騒動に巻き込まれていく剣道部員たち。
歴史には詳しくないという人も大丈夫。難しくて堅苦しそうという人も試しに読んで見て。でてくる偉人がどんな人で、どんなことをしたかを分かり易く解説してくれますし、個性豊かな剣道部員たちのおかげで、楽しみながら読むことが出来ます。
意図せず幕末で生きることになってしまった剣道部員たちの巻き起こす大騒動。興味のある方はぜひ読んで見てください。
幕末の動乱の世の最中に現代の剣道少年少女たちがタイムスリップし、歴史を変えてしまう。
このシチュエーションだけでも充分に面白いのに、作者様の剣道と歴史の豊富な知識を駆使した筆の腕前で、まるで映画を観ている様な剣劇アクションの表現手法や心理戦の胸が弾む様な描写、それに加えて静と動、シリアスとコメディの絶妙な間合いが生きた最高の感動娯楽作品に仕上げられています。
5人の剣道部員達も、実在した幕末の人物達に負けない位に魅力的に描かれていて、怪力男、秀才少年、歴史ヲタ、天才美少女剣士、天然美少女と、それぞれの強烈な個性的キャラが脳裏に焼き付いてしまいます。
幕末の歴史も諄く無い程度に分かりやすく解説されており、歴史物好きの読者からほとんど知識のない読者まで、幅広い読み手を魅了します。
一度目を通したら逃れられない、笑いとスリルとアクションが複合合体した新感覚の一大歴史活劇の誕生です!
現代の強豪高校剣道部に所属する5人が幕末の京にタイムスリップしてしまうところからこの物語は始まります。
タイムスリップした先でいきなりこの国の未来を占う重要な一局面に居合わせた彼らは、図らずもそれに携わってしまい、
以来大きな歴史の奔流に身を投じることになります。
人気ジャンルとして定番とも言えるタイムスリップものですが、凡手ならば歴史の改変を紙一重で避け続ける展開になるだろうところを、
作者はむしろ積極的に登場人物を過去の出来事と関わらせることによって、「未来が変わるかもしれない」という興奮を読者に与えています。
史実でのビッグネームである坂本龍馬、岩崎弥太郎、新選組の面々などの登場は嬉しく、作者の豊富な知識に担保された立ち回り・セリフ回しが心憎いです。
未来からやってきた剣道部の5人もそれぞれに代替不能な魅力があり、また一人ひとりに「見せ場」が用意されている点に作者のキャラクターへの愛を感じます。
登場人物は、男も女もみんなかっこいいです。それも単に外見的なかっこよさではなく、内面からにじみ出るようなかっこよさです。
見せ場ごとに、新たなキャラクターの魅力が溢れ出て、何度も「かっこいいな」と心の中で呟いていました。
そして彼らが剣道部であるということからすでにお察しの通り、剣劇のシーンが随所にあり、この作品を盛り上げます。緊張感あふれる一瞬に、手に汗握ること間違いなしです。
美少女、イケメン、SF、歴史、バトル、友情――。
小説を構成する面白さの粋を集めたような、そんな贅沢な大傑作です。
驚異的な面白さの守備範囲と圧巻のクオリティを、是非ご一読ください。
幕末、激動の時代にタイムスリップしてしまった剣道部員の物語。
あの「新選組」と剣道部員が関わるという事で、物語としては複雑です。
新選組と関わるだけ、歴史観光のようなものではありません。
タイムスリップした五人はいずれも『現代の剣道』『幕末よりも洗練された剣道』を知っています。
未来から来た、という事実。
これが予想だにしない魅力を生んでいます。
また、剣道部の人柄にも注目です。
色々な魅力を感じる作品でした。
私は穿った視点で、『よくある時代劇』『有名な新選組、歴史上の人物を出して喜んでいるだけ』と思いたかったのですが………。
読み終わってみると、見事な作品でした。
時代小説が苦手な小生でも、楽しく拝読させていただけました。
現代の剣道部員が、幕末にタイムスリップして、幕末の志士たちと渡り合っていき、成長していく物語。幕末なので、新撰組の剣豪や土佐の坂本竜馬、今話題の西郷さん等々、とてもメジャーな名前から、マニアックな名前まで色々出て来ますが、その度に自然な形で解説が入るので、日本史が苦手な小生でも物語にのめり込むことが出来ました。
剣劇アクションシーンは、高い描写力に優れ、ハイファンタジーにも引けを取らない圧倒的な臨場感を感じることができ、大興奮すること間違いなしの展開! 異能バトルモノが好きな方でも、楽しく読むことが出来そうです。
キャラクターが一人一人立っていて、敵、味方、関係なく、全てのキャラクターに好感が持てるように作られている。小生のお気に入りは美少女剣士と剣道馬鹿の関係性です。
まだ一部完結ということですが、一部だけでも面白さは十分に伝わる作品です。果たして、五人は現代に無事に帰って来ることができるのか?
第二部も期待大!
是非、是非、ご一読ください!
歴史好き、特に幕末はかなり多くの人が好きな時代ではないでしょうか。
その時代にタイムスリップしてしまった個性豊かな剣道部のメンツが歴史上の偉人達を巻き込んであっちらおっちらと奮闘していきます。
歴史解説も丁寧にキャラクターが説明してくれるので、知らなくても大丈夫!
何とかなります(笑)
一度読み始めたら一気にラストまでスラスラと文章が頭に入って来るので楽しめます。
剣道部の五人のキャラクターも生き生きとしていて、すんなり感情移入できると思います。
物語が
歴史が
どう進んで行くのか先の見えない展開に読んでツッコミたくなる笑いも含めて読んで損をする作品ではありません。
ぜひお読みになってください!
歴史知識・想像力・キャラ造形。
このうちどれか一つ、または二つに秀でた作品はあると思うのです。
でも三つ全てとなると……。
『チェスト!幕末坂高校剣道部』は、これら全てを高いレベルで兼ね揃えた、稀有な作品です。
そして、ストーリー展開が非常に気持ちが良いです。無理に大風呂敷を広げるのではなくて、細い真っすぐな道に沿って、実に見事なバランスで見せどころを配置している感じです。ラストも出色です。
私は歴史にも剣道にも全く興味がなく、当然知識もないわけですが、それでもとても楽しく読めました。ここまでストレスなく読める作品は、珍しいと思います。
描写や説明が上手いのです。予備知識がなくても、完全に物語の世界にはまることができます。
そして、時折挟みこまれる印象的な一文。情景描写や心情描写がさらっと書いてあるのですが、作者さんの筆力の高さがうかがい知れます。
読んでいて、物語の映像が頭に浮かんでくる作品でもありました。
魅力的な俳優さんを使って映像化すれば、素晴らしい一本に仕上がることでしょう。
まず一つ。
物語の中心となる高校生たちが、とても魅力的なキャラとして描かれています。きっとそれぞれのファンが既にいるはず。
そんな彼らを中心に、クスッと笑えたり、胸キュンしたり、ハラハラしたり、スカっと解決!
テンポよく話が進んでいくので、つい引き込まれてしまいました。
戦闘シーンも特筆もの。
剣術が主体ですが、躍動感やスピード感が伝わり、体の動きまでが目に浮かぶ描写は、読んでいて爽快な気持ちにさえなります。
そして、この物語に厚みとリアル感を与えているのが、要所に出て来る史実の説明です。
分かりやすく、なおかつ深い。歴史好きにはたまりません。
今後の展開も楽しみです。
ちなみに、映画化してもイケそうじゃね?と思ってるのは私だけかな(^^;)
剣道なんてほっとんど知らないから専門単語なんて分からねえ! しかしそんなペーペー以下の俺でさえ、はっきりイメージができる戦闘シーンがあるのがこの作品だ! 普通こういうのって専門単語バンバン使ってて初心者おいてけぼりにしやすいんだが、んなことない! 絶対ない! 専門単語もあることはあるが、それをうまく誰の目から見ても分かるような地の文に仕上げている! 未経験者が見ても面白いこの作品、経験者が見ればもっと面白いはずだ! つまりこれは誰が見ても面白い作品なんだよ!
失礼しました。
この作品、もう1つ注目して欲しいのが圧倒的なまでリアリティーです。この作品は江戸時代にタイムスリップをする時代小説です。時代小説にリアリティーを作るためには、当時の人物や事件、その後の話など大量の取材が必要になります。言うのは簡単ですが、これは大変難しいことです。しかしこの作品はそれが出来てます。特に
「この人、すごい……」
と思ったのは新選組が黒づくめの格好をしていたこと。詳しい経緯は省きますが、この描写。とことんまで調べなければ出てこないものです。これ以外にも、ものすごく調べてあるのが多々分かります。脱帽ものです。リアルに描かれる幕末の世界で、主人公、豪太や涼介の活躍を是非とも見てください。