little honey ~小さな彼女へ

蒼真まこ

第1話

「あなたがすきなの……」


 うるんだ瞳。情熱的な愛の告白。

その熱を含んだ視線は俺をしっかりとからめとっているようで

身動きができなかった。

それを知ってか知らずが、その少女は俺に体をぴったりと寄せている。


 俺はこれまで女の子にモテた経験はない。

恥ずかしながら、重ねたきた年齡の数だけ彼女がいなかった。

彼女いない歴17年。

それほど変な男だとは思ってはいないが、いわゆる『モテる男』ではない。

それはハッキリと自覚している。

この世には生まれつきモテる奴とモテない奴がいることぐらいよくわかっている。

そんな『モテない男』である高村佑樹が情熱的な愛の告白をされているのだ。

それまで何度も頭の中で描いていた(妄想していた)理想的なシチュエーション。

夢にまで見たその状態は、狂喜乱舞といっていいぐらいの嬉しさだろう。

本来ならば。

自分とさほど変わらない年齡の少女、または年上のキレイなお姉様であったのなら

その場で踊ってみせてもいいぐらいの嬉しさだったと思う。


 そう、俺はこの状態を素直に喜ぶわけにはいかなかったのだ。


 なぜなら。

愛の告白をしてきた少女は

まだ幼稚園児の女の子なのだから……。


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