概要
僕が君ってよぶのは、世界でたった二人。
僕はいつも愛する君を「君」と呼んでいた。
君も年下の僕のことを「君」と呼んでたね。
僕らは「君と君」そう呼び合ってたんだ。
あの子が生まれるまではね。
君が生まれたから、僕はパパ、元「君」はママになった。
でも、時々呼んでしまうんだ。君ってね。
君も年下の僕のことを「君」と呼んでたね。
僕らは「君と君」そう呼び合ってたんだ。
あの子が生まれるまではね。
君が生まれたから、僕はパパ、元「君」はママになった。
でも、時々呼んでしまうんだ。君ってね。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!パパはどんなときだって、キミとキミを守ってくれるんですぜ!
「僕とキミの15センチ」コンテスト参加作品であります。どんな15センチが仕掛けられているのか、ワクワクしながら拝読いたしました。
でも読み進めるうちに15センチのことは忘れてしまい、登場する家族の温かな雰囲気にひたりながら、頬を思わず緩めている自分に気づきました。
今作は、ある若い夫婦が待望の赤ちゃんを授かり、一生懸命に子育てするパパ目線で語られる物語。その様子がとても上手く表現されています。一文、一文に注がれた作者の温かな眼差しが、読み手の心にスウット入ってきます。奇をてらうことなく、装飾することなく、とても素直でありながら物語に引き込まれていくのです。
もちろん、15センチは挿入されてい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!苺のロールケーキのように、ふんわりほんわりと優しい物語
この温かな読後感は物語を多読する最近でも珍しい。
それほどにこの『僕と君』は、慈しみに満ちた優しい物語だ。
詩的でありながら、要所の知識はきちんと押さえてあるのも筆者の力量であり、この物語を柔らかに象る一つの要素だろう。
君と君。主人公には二人の大事な「君」が存在する。
実は一方の君が生まれるまでは、主人公自身が「君」だった。
子供が生まれて初めて、彼は「君」の座を譲り渡すのだ。
まるで入れ子形式のような、穏やかな君の転換。
「僕」はそれから、知り初めし「君」と長く付き合ってきた「君」との、二つの宝を見守る立場になる。
この物語を読めば、棘々した気持ちも、ささくれだった心も、くるりと…続きを読む