「僕とキミの15センチ」コンテスト参加作品であります。どんな15センチが仕掛けられているのか、ワクワクしながら拝読いたしました。
でも読み進めるうちに15センチのことは忘れてしまい、登場する家族の温かな雰囲気にひたりながら、頬を思わず緩めている自分に気づきました。
今作は、ある若い夫婦が待望の赤ちゃんを授かり、一生懸命に子育てするパパ目線で語られる物語。その様子がとても上手く表現されています。一文、一文に注がれた作者の温かな眼差しが、読み手の心にスウット入ってきます。奇をてらうことなく、装飾することなく、とても素直でありながら物語に引き込まれていくのです。
もちろん、15センチは挿入されています。
殺伐とした心をとても穏やかにしてくれる物語を、ぜひ皆さまにお奨めしたいなと思います。
この温かな読後感は物語を多読する最近でも珍しい。
それほどにこの『僕と君』は、慈しみに満ちた優しい物語だ。
詩的でありながら、要所の知識はきちんと押さえてあるのも筆者の力量であり、この物語を柔らかに象る一つの要素だろう。
君と君。主人公には二人の大事な「君」が存在する。
実は一方の君が生まれるまでは、主人公自身が「君」だった。
子供が生まれて初めて、彼は「君」の座を譲り渡すのだ。
まるで入れ子形式のような、穏やかな君の転換。
「僕」はそれから、知り初めし「君」と長く付き合ってきた「君」との、二つの宝を見守る立場になる。
この物語を読めば、棘々した気持ちも、ささくれだった心も、くるりと丸められる気がする。
言葉ってリズムがありますよね?
そのリズム感を持ってる人って、実は本当に少ないです。
私の得意分野になって申し訳ないですが
音楽界で言うなら、マイケル・ジャクソン、ジョージ・マイケル、ピーター・セテラや、
グループで言うなら、TLCとか、スターシップなんてほんと凄いです。
世界的に売れてるソングライターは、必ず言葉のリズムを理解していて、すごくそれを大切にしています。
六月さんはどの作品を拝見しても、言葉のリズム感がすごくて、嬉しくなります。
まるで、音階が目に見える様に胸まですぅっと飛び込んできます。
才能なんですねぇ。
この作品はそれが顕著に分かる、私にはまるで譜面のような作品でした。
これからも楽しんで聴かせてもらいますね。
では。