僕と君
水菜月
1 君と君
僕は君と結婚するまで、いつも君のことを「
いや、結婚してからも、そうだった。
そして君も、年下の僕のことを「君」と呼んでいたから
僕らはまるでたまごのように「きみときみ」合戦を繰り広げていた。
あの子が生まれるまでは。
君が生まれたから、僕はパパ、元「君」はママになった。
*
ママは君が生まれる前に、僕にこっそり言ったんだ。
「ねぇ、この子が生まれて、どんなにかわいくっても
私のいちばんは、いつまでも君だからね。忘れないでね」って。
でもね、瞬時に忘れたみたいだよ。
ママは今でも「人生でいちばん嬉しかったこと」を訊ねられたら
「君が生まれた時」って、答えているもの。
すっごい威力だな。
僕は、あっという間にノックアウト。
君は生まれながらに、僕のライバルだ。女の子だけど。
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