岩井喬

大変考えさせられる作品でした。単なる『自己vs他者』『自己vs現実』ではなく、血を分けた存在である『家族』と自分との葛藤が浮き彫りにされています。この言語化の難しい、しかし確かにそ…続きを読む

あるデメリットを覚悟しつつ、自分の能力を活かして人々を助けていく、ある女の子のお話です。 文章自体は端的かつ短文で、ストレスなく読み進めることができます。そのぶん、作中で起こる災害…続きを読む

意味不明な「ひとこと紹介」になっておりますが……。実際この通りなんだ！　としか申し上げられません(;^ω^) 主人公とヒロインの関係性を鑑みると、これは一組のカップルのお話なのだ…続きを読む

小説ってなんなのか？　執筆とは？　自己表現とは？　では、執筆と自分らしさを結びつけるものとは何だ……？ と、小説を書かれる方であれば一度はぶつかるであろう疑問だと思います。 この…続きを読む

小説のシステムについて言及されるものの、今作はそれだけでは止まりません。 社会人となってからの執筆に関することや、頭の使い方のようなものにまで言及されていて、大変興味深く拝読させて…続きを読む

淡々と、一定のスピードを維持しつつ描き出されていく情景描写が非常に魅力的です。 くどくどと説明されているわけでもないのに、美しい夏の夜、アイスキャンディー、登場人物の造形など、「こ…続きを読む

短編で愛を語るというのは、やりようによって簡単か難しいか、に分けられると考えているのですが、この作品は敢えて、困難な手段・道を経て感動を読者に胸にド直球で叩き込んできます。 「叩…続きを読む

ストレートに登場人物の気持ちを表出できるところが、著者様の魅力の一つだと常々思っておりました。 が。 この作品はむしろ逆、と言えるかもしれません。 文字数が大変少ないこともあります…続きを読む

支配者・被支配者に二分される人類と魔族、その戦争が勃発する直前のお話です。 といっても、アクションシーンでガンガン押すような作品ではありません。人間の青年と魔族の作家が織りなす、一…続きを読む

少しずつ、時間を置きながら拝読させていただきました。 理由は単純で、いっぺんに読み切るにはあまりにも残酷だと思われたからです。 明らかに罪人としか思えない父親の言動や、周囲の人々の…続きを読む

あまりにも自然な流れに、序盤から引き込まれます。主人公・佐藤の下をいつ何時でも訪れるヒロイン・小倉の関係性は、単なる恋愛感情を想起させるだけでなく、適度なバランスの下に描かれます。…続きを読む

ジャンルによって感動を与えやすい・与えにくいという問題はあると思います。 そんなことをぶっ飛ばして鮮烈な描写を研ぎ澄ましたのが今作である、といえるかも知れません。 「かもしれない」…続きを読む

そんな強烈な圧迫感に見舞われる主人公を、見事に描き切った作品です。 いや、主人公の年齢からすると、描き「切った」とは申し上げづらいかもしれません。 人間同士のコミュニケーションと…続きを読む

著者様がお婆様を亡くされたことに触れて書かれた短編です。 文章の区切り方を考えたり、脳内で音声として認識したりして見ると、やはり『詩』と申し上げた方がいいかもしれません。 ところ…続きを読む

完全なるノンフィクションである以上、易々と書けるレビューでもないのですけれど……。 著者様とお婆様の、とりわけお年を召されたお婆様のご様子が主に描写されます。それが、お婆様が亡く…続きを読む

レビューを書かせていただくにあたり、真っ先に思いついたフレーズが、紹介文の文言です。 小説・執筆という行為にどのように向き合うのか、それを非常に考えさせられる掌編作品でした。 元…続きを読む

著者様の失恋を、ご自身がノンフィクションで書かれた作品です。 この掌編には、いろいろな「対比」があると感じました。 〇淡々としていて安定感があること ◉情感が大変豊かであること …続きを読む

『恐ろしい』と感じる作品を拝読するのは久々でした。 『どのあたりが？』と問われると、とても答えられるものではありません。 しかしながら、拝読するのを断念することはありませんでした。…続きを読む

単なる同棲ではなく、『幼馴染が猫になってしまう』という、ちょっとしたファンタジー要素のあるラブコメ作品です。 『幼馴染＋猫』というダブルパンチ（猫パンチ？）に、微笑ましさ、アットホ…続きを読む

この作品は、まさに迫真の、ノンフィクションに限りなく近いフィクションである――。 そう仮定すると、とても冷静ではいられない気持ちになりました。もちろん僕は、戦争というものを知りま…続きを読む

虐待を受ける「僕」と、アパートの隣室に住む「彼」の織り成すヒューマンドラマです。 描かれていない部分は極めて広大で、しかしそれだけ深く物語が構成されており、著者様の並々ならぬ技量が…続きを読む

長編ばかり書いている僕のような人間からすると、この無駄のなさ、巧みなドラマのバランス展開には圧倒されます。以前拝読した際の記憶が明瞭でしたので、途中からの拝読だったのですが、これは…続きを読む

この物語に、ハッピーエンドという言葉は不適でしょう。しかし、誰もが老いていき、人生の伴侶を失うことはあり得るわけで、その事実をしっとりと丁寧に描いています。現実と、それに向かい合う…続きを読む

情感溢れる言葉たちによって構成された、素敵な掌編作品です。 「素敵な」とは、実は「読者さんをどこにも誘導しようとしない」ということでもあります。矛盾するようですが。 たとえば「自…続きを読む

作品タイトルとキャッチフレーズを裏切らない、ド直球で笑いを取りに来る、素晴らしい掌編です。 「お、異世界転生だ！」→「主人公何言ってんの？　まあ夢だからいいか」→「本当に夢か？　…続きを読む

千文字強でさらっと読める、どこか不思議（人によっては不気味）なお話です。 まず冷蔵庫に死んだ虫を入れる、という発想がすごい。 そして、それを「子供」という「愛すべき対象」でありかつ…続きを読む

小学生の「あるある」がぎゅっと詰め込まれた一作です。 イジメの描写がありますが、それほど重いものではなく、むしろ「あの人の真意」を描くのに必要なエッセンス。 口下手な男の子と、そ…続きを読む

こちらの作品では、著者様の『執筆』という活動に対する態度や、そのきっかけが描かれています。 それは恐らく、執筆なる行為に走る人々（筆者含む）の『誰に対しても言えること』であり、ま…続きを読む

不幸に見舞われた幼いお姫様二人と、これまた悲劇を背負った魔女を中心としたお話です。 人が誰かを想う時。それはきっと素晴らしい感情の芽生えなのだけれど、同時に誰かの想いを除け者にして…続きを読む

『日常アニメ』ってジャンルがありますよね。ロボットも魔法もゾンビも出ない、ほんわかするアニメ。まさにあんな感じのエッセイです。 以上！　……と申し上げるのは簡単ですが、著者様の使…続きを読む

と、しか申し上げようがないのですけれど（＾＾； 人間の享楽を追い求める過程と、無様（？）な結果を見事に描き切っていると思います。 その間に、主人公の実年齢88歳と身体年齢30歳とい…続きを読む

この作品を拝読し、それは『時間』なのではないかという結論に至りました。 技術躍進で病気も争いもなくなったけれど、人の心というものは『時間』によって移ろってしまう。 それを端的に描…続きを読む

実に素晴らしいエンタメ作品でした！ この場合の「エンタメ」の意味はというと、純粋に「読者を楽しませてくれる」ということ。 ファンタジー＋恋愛という王道的な舞台設定ながら、登場人物…続きを読む

基本的に、主人公含め「いい人」しか登場しません。 一見すると作品として破綻していると感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは僕がアクションものばかりを書いているからであり、今…続きを読む

生きづらい世の中です。露骨なものにしろ小さなものにしろ、悪意は泡のようにぷかぷか浮かんでいます。それに捕らわれてしまった時、一人の人間に一体何ができるのか。その葛藤が見事に描き切ら…続きを読む

と、いうところからお話が始まり、綺麗に収束する見事な短編です。 『人間』と『人間に非ざる何か』の観点から、非常に鋭く切りこまれており、しかもさらっと読めるという優れた秀作と言えます…続きを読む

日常のほんの一コマですが、誰もが陥りそうな感情・衝動を見事に描き切っています。 情景描写と感情描写のバランスの良さには目を瞠るものがあり、短編でありながらすぐさま世界に引き込まれ、…続きを読む

カクヨムでは面白い点・良かった点をレビューするよう促されていますが、ここまで端的かつ明快な作品ともなると評価できません（誉め言葉）。 読了後、すぐにこのレビューを書き始めましたが…続きを読む

早い！　巧い！　面白い！　と三拍子そろった面白掌編です。 おいまさか？　そうなるのか？　本当にそうなるのか⁉　ばーーーん！ と、いう一連の流れが見事の一言に尽きます。 小説の…続きを読む

四季シリーズの最終章です。 主人公の動作や心情が詩的に描かれていますが、では『詩的』とは何だろうかと逆に考えさせられます。 少なくとも僕は、短くもありながら、そこに著者様の『思い』…続きを読む

大変読みやすく、読後感は実に落ち着きのあるほっこりしたもの。 読みやすいというのは何も「極めて短い」というだけでなく、文体のシンプルさ、そしてそこに込められた「誰しもが味わったこと…続きを読む

思わず「これにはやられた！」と思いました。 理由は定かでないですが（逆にそこがいい）、戦闘機の敏腕パイロットを務める主人公・レトロと、彼のそばに寄りそうヒロイン・モモ。 これで天…続きを読む

詳しく語ることはできません。主人公が一体何をしでかし、また、何を成し遂げたのか。 それを刻銘に描くべく、一人称でお話が進みます。 が、このお話の特徴はそれだけにとどまりません。ほと…続きを読む

主人公を含め、登場人物の心情を、周囲の物体やさりげない所作で描く手腕は流石です。 そして降臨する『ヤンデレ』。大変スタンダードではありますが、恋愛って何だ？　怖くないか？　と、なか…続きを読む

この作品には、事件があります（死人は出ませんよ＾＾；）。 普通のお話であれば、犯人探しやら、その上での和解やらといった展開があるはずなのですが、この作品はそれらの一切を放棄。 と…続きを読む

前半と後半、巧みな『視点の移り変わり』が起きます。ネタバレは避けますが……。そのお陰で、無邪気さと現実のギャップ（＝怖さ）が何倍にも膨れ上がります。 あまり書けることがなくて恐縮で…続きを読む

何だか昔の曲を引っ張ってきてしまいましたが（＾＾； 前回拝読した『色彩のトランク』とは、趣向が大きく異なりますね。 短編（掌編）であり、特別に奇をてらったストーリーでもない。 け…続きを読む

詩というものを書かない僕ですが、いや、だからこそ？　引き込まれるものがありました。 明るく、眩しく、時に不安定。そんな日本特有の『春』というもののエッセンスが、巧みに織り込まれてい…続きを読む