概要
血まみれの歯車を吐き出しても、納期が夫を赦さない。
朝食の席。夫が鰯の骨でも出すように小さな「歯車」を吐き出した。
妻が受診をすすめた夜、夫は風呂場で倒れた。
赤い血と共にあふれ出す、大小様々な金属の部品。
妻が震える指でダイヤルしたのは、救急車ではなく、夫の会社の「専用窓口」だった――
犀川よう様自主企画
≪【新作募集】第三回 さいかわ卯月賞≫参加作品
テーマは「歯車」です。
近況ノート https://kakuyomu.jp/users/90505/news/2912051598719136379
妻が受診をすすめた夜、夫は風呂場で倒れた。
赤い血と共にあふれ出す、大小様々な金属の部品。
妻が震える指でダイヤルしたのは、救急車ではなく、夫の会社の「専用窓口」だった――
犀川よう様自主企画
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テーマは「歯車」です。
近況ノート https://kakuyomu.jp/users/90505/news/2912051598719136379
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!非現実的なインパクトから噴出する、超現実的なダークコメディ!
まずタイトルが秀逸です。歯車? 何のこっちゃ? と思わせておいて、それが登場人物の『妻』の眼前に視覚的に顕現した時の衝撃! これには息を呑みました。
歯車というのは、『社会構造の中でメンタルを削られてしまう人々のこと』と(勝手ながら)認識しております。それを前もって象徴として描きながら、そのまま『リアルな歯車』として描いてしまった。
この現実と狂気の合間を縫うような構成・バランスは、本当に『お見事!』としか申し上げようがありません。
『夫』の帰宅を待たずしてまた一人(?)の登場人物が現れますが……、その時の『妻』の在り方もまた興味深いですね。
『短編らしさ』『インパクト』『敢えて投げ出…続きを読む - ★★★ Excellent!!!血の通った社畜と、血の乾いた歯車。薄ら寒くなる恐怖
「社畜」という言葉をこれほどまでに美しく、そして残酷に描き出した短編があるでしょうか?
本作の怖さは、夫が吐き出した「歯車」という比喩の物質化です。組織の一部として摩耗し、血を流しながらも回り続ける孤独な労働。
その極致として描かれる「吐血ならぬ吐歯車」の描写には、現代社会の歪みが結晶のように凝縮されていて鳥肌が立ちました。
物語をさらに仄暗く怖さを増殖させるのは、妻の「狂気的なまでの適応力」です。
救急車ではなく会社へ電話し、散乱した夫の欠片(歯車)を淡々として乾かす。この淡々とした日常の所作が、かえって異常な世界の解像度を跳ね上げていて横でその作業を見ながら震えているよ…続きを読む