概要
家では母の躁鬱、父と長姉の無関心に晒され、精神をすり減らしていく。
そんな中で知ってしまったのは、政権与党の律光党と、その支持母体である正律教に、父と母が揃って入信していたという事実だった。
正律教について調べようとした矢先、学校内で猟奇的な殺人事件が起きる。
点と点だった出来事は、やがて一本の線として繋がり始める。
背後で蠢いていたのは、日本史にも刻まれるある事実。
これは八百余年にわたって続いた呪いの系図を断ち切り、愛によって新しい系図を描こうとする少女の物語。
現代ホラーと民俗伝承、日本史と家族の愛憎が静かに絡み合う東北呪術ノベル。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!オカルト民俗伝承ホラーのド真ん中剛速球。最早そこには愛すら感じられる。
ホラー小説の中でも、王道中の王道カテゴリーと言えば、どのような傾向の作品を連想するでしょうか。近年はWeb人気の影響もあって、モキュメンタリーを好む読み手は相当増えたのだろうと思います。また何だかんだで「学校の怪談」をジャンルの入り口として触れた人も多いでしょうから、学園(青春)ホラーも根強い人気がありそうです。
しかし個人的にホラーで一番心惹かれるのは、やはりオカルトや民俗学(民間伝承)を題材の芯に据えた物語です。さらにミステリー的な仕掛けがあるなら、猶更好ましい。具体例を挙げると、現代では取り分け三津田信三先生や澤村伊智先生などによって書き著された作品が該当するでしょうか。古い土着の文化…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「if」として紡がれる「日本呪術史」。圧倒的緻密さを持つホラーの傑作!
本作を読んで、「日本のホラー」についてまた新しい可能性を感じました。
主人公の妻神夏穂は学校で凄惨ないじめに遭う日々を送っていた。姉である沙穂が援助交際(またはパパ活)の果てに殺害される事件が起きるなどした後、夏穂も学校では腫物のように扱われ、彼女の存在は教師からも厄介者と見られるようになっていた。
更に輪をかけて、母も「ドウゲン先生」なる存在に心酔し、不穏な宗教に傾倒するようになる。夏穂を迫害するいじめのリーダーである沙希まで同じ「ドウゲン先生」と関わりがあるようで、彼女の日常がどんどん正体不明の何かに侵食されていく。
体に現れる呪いの痕跡。「シズガバコ」なる謎めいた呪物。聞…続きを読む - ★★★ Excellent!!!静かに狂う――呪いの正体を追う正統ホラー
凄惨な事件に始まり、主人公に覆いかぶさる陰湿な出来事、さらに追い打ちをかけるような両親の様子。おおよそ最悪と言っていい出来事が次々と積み重なる。
しかし、そんな出来事に、もしも『仕組み』があるとしたら?
主人公が直面する狂気の出来事の背景にある怪しい宗教、或いは呪術。それが読み解けたとき、至るのは解放なのかそれとも……
本作は強烈な描写もさることながら、じわりじわりと忍び寄る『なにか』の存在をほのめかすバランス感覚も魅力なホラーかと思う。一体何が起きているのか、ついつい主人公とともに知りたくなったり考えたりしてしまうだろう。
学校も家族も頼れない主人公がいかにこの理不尽で奇怪な物…続きを読む