はい、偽物川自作語りのターンです。といっても二作目は現在執筆中ですが。
そもそも今回のテーマ、はっきり言ってめちゃくちゃ書きにくかった。なぜなら僕は食に関して一般的な水準をかなり逸脱した人間なので。
一例をあげると、一人暮らし一年目の夏、気づいたら体重が40キロを下回っていました。これは成人男性としては異常な数値で、晩年の歌丸師匠と同レベルです。しかしなにより恐ろしいのは、僕はいたって自然体でいるつもりで何の自覚症状もなかった、ということです。実際、心身両面とも特に異常はなく、ただ「食べるのがめんどくさい」という理由だけでそうなっていました。
僕は僕自身のことを舐めていました。この男はある種の欠陥と言えるレベルで食べることに興味がないのだと、その一件で思い知らされました。
まあそんなわけなんでマジで何を書けばいいかわかりませんでした。多分自分には「食べることは尊いことだ」という価値観自体が合わないのだろうと思い、ならいっそ「食べるのってなんか嫌だよね」という最悪の逆張りを軸に書くしかないと思った。
それでできたのがお弁当を食べない女子高生の話。
学校と食って、特に給食とか、思い出というよりはトラウマに近い経験がいくつかあって、少なからず僕の現在の人格形成や食に対する考えに影響を与えてると思うんですが、そういうものを青春百合文学として再構築したらああなりました。
私小説っぽさを出したくなかったので、視点人物はまともな人にしましたが、正直そっちの方が書きづらかったです。
で、未だ存在しない二作目の話なんですが、だいたいの流れはもう決まってるので先に作者の意図というのだけを書いておきます。気にする人はこの部分は作品が投稿されてから改めてお読みください。
発想の出発点はかの有名なアンパンマンでした。
彼は悪と戦っているからヒーローなのではなく、飢える者に食べ物を与えて、自己犠牲をいとわず見返りも求めないからヒーローなのである、という認識がまずありました。
そしてアンパンマンが善であるならその逆、他者の糧を奪い、そのためなら他人の犠牲を省みない者がいるとすれば、それが最も純粋な悪と言えるのではないか。そこに食べなければ生きていけないという人間存在の根源に関わる何かが眠っている気がする。そういうものを書きだしていけるようにどうにか頑張っていきたいですね。
まあそんなわけで食に無関心な人間なりに足掻いてみましたので、そのうち公開されるであろう二作目も含めて、読んでもらえると嬉しいです。