「さなコン 短編」を含む小説

巨人の遺体が空から降ってきた。 巨人は様々な面で人とは異なる。 死を迎える時もそう。 死んだと思しき巨人は完全に命が尽きるまでのごくわずかなあいだ、ことばを交わすことができる。 …

未来のスマトラ島に作られ、その地を二百年にわたって統治する「教会」は、危機に瀕していた。 教皇ヨシュア3世が、自分が書いた日記のページが読めなくなったと人々に告げたのだ。 代々の…

pixivのさなコン2024に応募した作品です。 ある日の朝、青い星の住人の日記に謎の文字列が出現していた。数百文字ほどの文字列は、何十億冊もの日記帳それぞれに書き込まれていた…

第3回日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト(さなコン)にて審査員賞に選んで頂いた作品です。 殺伐系ブロマンス小説かもしれない。 近未来の地球。社会の主要な決定はアンドロイド…

死者の声を聞き取る憑具師(ひょうぐし)により創り出された人工意思は、死者の過去を代弁する。 年端もいかない男の子は、なぜ浜辺でひとり死んでいたのか。 彼に憑依した人工意思が、彼の…

さなコン2024目指して書いたものの、期限も字数も守れずお蔵入りになった短編 コンテスト参加者は『見返した日記には、一ページだけ意味のわからない箇所がある』を必ず冒頭に入れた10…

ある日、突然に停止した、ふたりの時間。 彼女はそれでも、訪ねてゆく。 彼の部屋を。 思い出の部屋を。 そうして触れた、日記帳には……。 ＊某公募用の短編となります。

ある日、宇宙人がやってきて地球人を全て眠らせてしまった。元々寝付きの悪かった私だけを除いて。 私には世界中の誰もが眠っていても起きていて欲しい人がいた。 けれど、彼も他の人と同じ…

世界の終わりを前に、最後の時を普段の日常と同じように過ごしている夫婦がいた。 彼らは幸せだった。 他の誰に何を言われようと、このまま二人で最期の時を迎えられることを幸福だと感じて…

三本の巨大な牛蒡が空から降って来たあの日以来、東京の人々の食生活は牛蒡中心。東京在住の“私”は、勤務先の新作コレクション発表会に足を運ぶが……。 ―――――――― 【文学賞…

　この世とあの世の境目で、彷徨うことになった死者たちが、現世に残した未練を探して生前愛した者たちを見守っている。 　未だ生きている誰かのため、本当に伝えたい言葉を見つけたとき、た…

それはアンドロイドのタムがずっと探し続けてきたものだった。 白猫の姿をしたハッカー、シロと共に失った自分の体を回収し、最後に残った大脳皮質を集めれば家族の葬儀を行うことができる。…

　主人公のぼくは、中学教諭の父をもつ大学生。幼いころから父親の教育方針で、先端技術を使用しない伝統的な野球をプレーしてきた。 　大学生になり、恋人ができ付き合い始めた折、学校教育…

東雲　月（しののめ　るな）は、１６歳の女の子で元・凄腕の殺し屋。 任務失敗を機に殺し屋の業界を追われた彼女は、ひょんなことからあなたの家に居候することになり、義理の妹を自称し始め…

　世界を自動化するＡＩシステムのメンテナンスを自動化する手段が失われ、社会は混乱していた。生活インフラが頻繁に故障するがなおし方は誰にもわからない。異常が日常になり、普通はふつう…

日本SF作家クラブ様が主催された「さなコン」に応募した作品です。 一次選考を通過いたしました。 　 　私はあるときから、奇妙な幻覚を見るようになった。その幻覚は、ニュースキャス…

日本SF作家クラブ様が主催された「さなコン」に応募した作品です。 一次選考を通過いたしました。 　星波たま子はギャルゲーマーだ。 しかもその界隈では『必落のスターウェーブ』…

地球の周りをクジラが泳いでいる──その様子を宇宙船から見つめるノームへ一通のメールが届く。息の詰まる家から逃れるようにして宇宙へ出てきたノームには差出人に心当たりがあった。だが、…

　人類は〈潮汐ロック〉してしまった地球を捨て、系外惑星〈永遠の眠り〉への移住計画〈移眠〉を進めていた。データで送り、〈プリンター〉という植物で人類を印刷して移住させるのだ。地球に…

人類に愛想を尽かした神が「最後の審判を下す」と伝えたのは半年前。しかし昨日、確かに審判が下ったはずなのに、なぜか「私」は生き残っていた。 その理由を探すべく、私はこの半年間にあっ…