概要
この作品は日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト2025の共通文章から創作したものです。
https://www.pixiv.net/novel/contest/sanacon2025
『さなコン2025』最終選考に残りました。書き出し指定『その図書館には、奇妙なうわさがあった。』。『さなコン』は、他サイトへの同時投稿NGとなっていないので、カクヨムでも公開します。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!猫のように馴れ合わない。新月になったら帰る。
いやはや……
まさかそんなところに伏線があったとは思いませんでしたな。
してやられました。
丁寧で重厚。そして随所まで計算し尽くされているのだと思います。
その図書館は、一般家庭のリビングよりも少し大きいサイズの図書館。しかし、
本の密度が厚い。
そして、何より図書カードも要らず、「置いてある本は好きに持っていっていい」のだそうだ。
なんでそんなことが罷り通るのかというと、「新月になったら本が戻ってくるから」なのだという。
もちろんそこは信じられない主人公であったが、司書さんがそう言うので本を借りていくと、本当に新月になったら主人公の元から借りた本が消えており、
勝手に図書館に本が戻…続きを読む - ★★★ Excellent!!!文学に深い愛情を持つ文芸部女子による、少し不思議(SF)なファンタジー
本作の主人公は、本が大好きすぎて図書館の返却期限をつい忘れてしまう文芸部女子。ついには一か月、貸し出し禁止の刑を言い渡されてしまいます。落ち込む彼女のもとに舞い込んだのは、友人からの思いがけない情報――高級住宅街の一角に、返却期限になると、本が自ら戻っていくという謎の図書館があるというのです。
半信半疑ながらその図書館へ向かう彼女。果たして、そんな不思議な場所が本当に存在するのか? 普通に考えれば、構造物として存在していながら、世間にほとんど知られていない図書館というのは矛盾を孕んでいるはず。しかし、住宅街に自然に溶け込み、人々の目をすり抜けて佇むその図書館の描写には、「もしかしたら、ある…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この図書館の設定が、なんといっても面白いです
終盤で明かされる真相で、「おお!」となりました。
発想がとにかく面白いです。
図書館に伝わっている「ある噂」。それは、「返却期限が来ると、借りた本が自動的に図書館へ返って行く」というもの。
なので、延滞は絶対に発生しない。借りたままどこかへフェードアウトされることもない。
これは結構便利というか、未来の図書館でこういうものが出来たらいい、と思わせるものでもありますね。
本編はまず雰囲気がいい。図書館が持つ、静謐で、どこかホッとする感じ。そんな不思議な図書館に行き、「トキコさん」という落ち着いた雰囲気の司書の女性に会う。
とにかく、「物語が始まりそう」な昂揚感がある。それ…続きを読む