「文学賞」を含む小説

香菜は舞踊団で踊りを続けて七年目になる。 あの日憧れたように照明を浴びて踊っているはずなのに、現実に嫌悪していた。 笑顔の裏に隠された嫉妬、見え隠れする人間の醜さ。それでも彼女は…

滅亡した人類のために火星で開拓を続けながら待ち続けるＰ１１３号は、ある日、新しい人類の作るというＰ１１２号の退屈しのぎに付き合わされ──

三年付き合った彼氏から突然プロポーズを受けた主人公は、価値観の違いに不安を覚え返事もせずにアパートを飛び出してしまう。 　アパートに帰れず二時間近くさまよった主人公の目の前に、一…

バリキャリで夫がいて子どもがいて愛人がいる、欲張りな玲美（れび）。自己中心的で、自分を棚に上げるのも、いけしゃあしゃあと振る舞うのも大得意だ。尋常じゃないほどの執着心を抱え、唯一…

　プロの小説家を目指し奮闘する主人公。その日々は私達そのものではないでしょうか。

ぺちん、の音が鳴ると身体が一回り縮んでいってしまう弟と、それを見守る姉や両親のお話です。「アポトーシス」「質量保存の法則」など、理系チックなことも物語に組み込んでいます。ただ、分…

彼女は今日もシュレッダーをする。そんな彼女から俺は目が離せない。 オフィスを舞台にした恋愛掌編。さくっと読めます。

２００２年頃に書いた２作目の長編小説です。 　但し、文学賞選考の過程は想像で書いたものなので、実際とは異なるかも知れませんので予めご承知いただいた上でお読みいただけると幸いです。…

図書室で見つけた栞を返すよ。頼まれたから。 でも多分、あなたと私は分かり合えない。

青年が就職して、家庭を持って、そんなありきたりの日々の中、青年には知らない記憶が時折姿を現す。どこか懐かしい。そんな記憶が人生の中で忘れている何かを訴え掛けてくる。果たして青年は…

キルキルはおとうとが生まれると、やきもちを焼き反抗的になる。キルキルは、とうちゃんの言うことを聞かずに、トラックに轢かれてしまう。体はぐちゃぐちゃで脳だけが助かる。とうちゃんは、…

ミルミルのおねえちゃんはいじわるだ。ミルミルはクリスマスプレゼントにやさしいおねえちゃんをお願いする。すると、クリスマスの朝、おねえちゃんのふとんの中に、でっかい箱が置いてある。…

僕にくっつくことが大好きな君が、遠くに行ってしまう。その後。

絵本作家の男性の家の庭には沢山の植物が暮らしていた。黄色の薔薇は一緒に暮らしている花々達や野良猫とのんびりした日々を過ごしていた。ある日黄色の薔薇の目の前を自転車に通り過ぎようと…

カクヨムWed小説短編賞2023応募作品。砂漠の砂の中で目覚めた私。目覚める前の世界は水が満ちた穏やかな世界だった。砂を掻き分けて近づいてくる足音。人と何かの恋物語です。何かとは…

江戸の世に、どういうわけか舞い降りた通称「サブスク侍」。 その手に携えた「デジタルクラウド刀」を武器に、サブスクリプションサービスを広めにかかった――。 題名以外のすべてを、Ch…

現代のファウスト、ものぐさで爪弾き者のＦは、天使メフィの助けで次々に思いつきの欲望をかなえるが、満たされることがない。『計画としての世界』を破壊したあとにＦが見たものは？……欲望…

滅んだ世界で、美しい一角獣に乗り屍躰の山を踏んでいく―― 小夜子は不登校の従弟・哲が語るおぞましくも美しい夢の話を聞いてから同じ夢を視るようになった。その夢で、小夜子は現実に疎ま…

祖母の愛犬マロンがある日脱走してしまった。三日後には発見されたが、以前のマロンとは何かが違うことを、孫娘は気づいてしまう。その違和感の正体は何か、そして祖母の秘密とは…。

短い散歩から帰って来た夫が、「ATMから昆布が出て来た」と口にした。私は半信半疑だったが、どうやら本当のことらしい。SNSや報道メディアを巻き込んだ騒動は、やがて北の海に辿り着く…