Mille Fleurs（ミル・フルール）

滅んだ世界で、美しい一角獣に乗り屍躰の山を踏んでいく――
小夜子は不登校の従弟・哲が語るおぞましくも美しい夢の話を聞いてから同じ夢を視るようになった。その夢で、小夜子は現実に疎ましく思っている人間の屍躰を踏みつけては、徐々にそのことで苦しむようになる。
古い綴織画（タペストリー）。手頸の繃帯。ローズマダーの絵具。忌まわしい手紙。共犯者の笑い。
荒廃した夢のなかで、哲が本当に踏み躙っていたものとは――
現実に傷ついた少女と少年が、夢の世界の果てに仄暗い光を見出すまでの物語。


（この作品は、以前書いた掌篇 https://kakuyomu.jp/works/16817330658348959743/episodes/16817330658801617698 を大幅に改作したものです。）