「短編 幻想」を含む小説

病院の、窓から眺める季節。 それは、触れることの出来ない幻想。 だけど、確かに存在する現実。 ――――私は、それを

『ラサンドーハ手稿』、個人的には近年稀な作品について考えることを要請する作品と感じたのでまとめてみました。 『水都眩光　幻想短編アンソロジー』（文藝春秋）に収録されています。面白…

『何でもお願いしてごらん』 「お兄ちゃんがほしい」 『お兄ちゃんってなに？』 「優しくて強くて頼りになって、私のことを絶対に守ってくれるの」 『ふぅん。それがおまえの願いか』 …

夢の記録

　アタナトス彗星――ただ一度地球付近を通り過ぎただけの天体。もう二度と訪れはしないだろう彗星はしかし、人類に未来永劫続く多大なる影響を及ぼした。 　不老不死。永遠の命。人類の夢…

天の庭を守る乙女と、奇妙な影の魔物たちが過ごすひと時に。庭から見上げる夜の記憶を、ひとつふたつとめぐりゆく。 夜をテーマとしたお話を集めた掌編集です。 ＊各エピソードはそれぞれ…

【最新話〈星と舟と〉永遠の薄明の世界。わたしは星を目指し、小舟で進んでいく――】 掌篇・短編集。 自分だけの箱庭を創るように、美しいもの、儚いもの、おぞましいもの、悲しみ、痛み…

レイ、ラニ、ガジャ、エルの冒険者四人組はある日、岩のような生き物と出会い…… 異世界ファンタジードンパチ西部劇です。 幻想生物フェスタ滑り込みアウト作です。

この世の有り様を音として聴く力があり、音を奏でれば人ならざる者とも繋がることが出来る役人『巡楽師』のディンクルパロット。 彼の次の仕事は、滅びと恵みをもたらす牡牛の道中を見守るこ…

ある男のところにやってきた「使いまわされた原稿」。しかしこれは男にとって運命の出会いだった……。文字通り原稿に取りつかれたその男はいったいどうなってしまうのか。

山海經（せんがいきょう）――異国の人や獣や神の様子が記された、秦漢の頃の伝説の奇書。 あるいは、その他中国古典に登場する不思議な存在に着想を得た短編集です。 二千年前も令和の世も…

答えは出ない。

漫画喫茶の店員をやっている〝僕〟は、ある日倉庫の中に地下へ続く扉を見つける。 中から出てきたのは、オーナー社長・紀見屋幸一の息子である紀見屋仙一だった。彼の怪しい魅力に惹かれ、…

祖母も母も、碌でもない男が好きだった。 あんな男のどこがよかったのかと尋ねると、ふたりで顔を見合わせ「顔に決まってるじゃない」と口を揃える。 「あんたもでしょ。血筋よ」 女と遊び…

家族として共に生きたペットを看取る話です。 幻想生物フェスタ、第七回こむら川小説大賞に寄せて。

人々は只管階段に足をかける。 本当に何もない階段だ。別の通路や何処かの階へ繋がりもしないどころか踊り場さえ存在しない。 （非現実的。不思議な場所と人）

#文披31題 に参加の読み切り掌編小説を、のんびり収録します。 今年は一話あたりの文字数はランダムです。 7/1-31までの31話の予定。（かくよむへの収録は時差があるかも） 綺…

世界は塩にのみこまれた。人が到達したこともない東の果てには、まだ塩にのみこまれていない場所があるという。

　薫子の意識が、夢と現実の狭間をさまよううちに、ゆっくりと浮上してきた。目を開く前から、彼女の感覚には違和感が広がっていた。まるで、体が宙に浮いているような、不思議な感覚。重力か…

　私は瑠美奈。 　蒼史朗殿の筆によって命を宿した一輪の花でございます。 　蒼史朗殿は、京の都に住まう類まれなる才能を持つ絵師。筆に魂を込めて自然の美を写し取ることに、人生を捧げ…