「短編向け」を含む小説

かつて、クマバチは気合と思い込みで飛んでいると言われていた。 現在では流体力学で説明がつくようになったが、レオナルド・クマバチだけは例外のままだ。 そう、このクマバチは信じる力で…

月に棲むウサギが、可愛いはずはない。 寒暖差二百八十度、真空状態で、あちこちから宇宙線が降り注ぐ極限環境に棲んでいるのだから。 きっと化物みたいに頑丈で、人間以上に生き汚い。

ある日、私の元に高校時代の友人「彩香」が自殺未遂を起こしたという知らせが届く。 病室に駆け付けると、意識が戻らず昏睡状態のままずっと眠り続けていた。 残されていたのは一冊のノー…

星座占いなんて、この世からなくなってしまえばいいのに。 そう思っているのは、きっと私だけじゃないはずだ。 ついてない一日でも、1コくらいいいことがあってほしいですよね。そんなお話…

　小説の練習のために、一週間に一回程度投稿しようと思っています。 　1000字以内なので、お暇な時間に読んでくれると嬉しいです。

自宅の庭でお茶を楽しんでいる最中、婚約者のロナルド様は「婚約を解消してほしい」と言い出した。 お相手のルビィ様とは前世から結ばれた真実の愛なんですって。なるほどなるほど。でもそれ…

人間は、融通が聞かない。 好きなように話せないし、興味のないことを聞かなきゃいけない。 それに空気を読まなきゃ嫌われるし、距離感を考えなきゃ嫌われる。 何より、会いたい時に会…

異世界転生、ダンジョン。ランキング上位を占める人気ジャンルたち。 スキルなどない異世界ファンタジーや異能ものが好きな人には好きな作品が探しづらく、スキルがあった方がいい人たちにと…

元奴隷のメイドは、拾ってくれた伯爵の回復を祈っていた。 そこへ、「ムジョー」と名乗る異形の犯罪ギルドが襲ってきた。 メイドは前任のメイド長から、「いざとなったら使え」と言われてい…

自殺しようとする女性を止めた俺はその彼女からお礼を言われることになる話。

日夜戦場を生きるサラリーマンたちが羽を休める立ち食いうどん屋を、真一は久しぶりに訪れていた。 新入り時代から変わらない味と値段のうどんをすすると思い出がよみがえってくる。 ノベ…

同じ高校に通う奏(かなで)は、毎日のように夢を語っていた。 「私ね、将来は――お母さんを超える、大物ピアニストになるんだ！」 その執念は本物で。彼女とは知り合って10年になる…

　「ね、どうしてこんな雨の中で歌っているの？」 　そうやって問われたのは、他に誰もいない橋の上。 　 　ずぶ濡れでギターを持った僕は、さっきまで歌っていた姿勢のまま固まって。 …

言葉のゆくえを、

私は4歳まで別の街で暮らしていたようで、兄が私を訪ねて家出したのもその街からだった。 世界との接触を断とうとして。 兄だけで十分だった。 これは、「不由（ふゆ）」という小さな街を…

「私の満たされない欲があなたを勝手に蹴落とすだけだから」 　これは人の持つ最高に素晴らしい欲求の走り書きである。 　この永久機関をヒトに備えた神様の顔面に、神聖なゲロをぶちまけて…

《魔法》が精霊よりもたらされた世界で、突如現れた「魔族」という存在に対抗すべく、人は国を建てた。 建国から幾年後かの王都ロザリオで、国民たちは魔族の撲滅を求め、叫んでいた。王バリ…

みんなは「歌が世界を幸せにする」って信じるかい？ 僕はずっと信じているんだ。それは僕が、歌とこの街が大好きだから。 今から話すのは、僕の住んでいる街で起こった大騒動。 ガラクタ…