「窓 ガラス」を含む小説

　コンコンコン。 　窓を叩く、小さな音。 　心臓が跳ねた。 　机の上の宿題を払い除けて、部屋の隅の鏡で身だしなみを確認してから。 　スマホを片手に、俺は窓の前に立った。 「…

小鳥たちが泣いているのがうっすらと耳に届く。 おそらく今は朝なんだろう。 寝ながらの自己紹介で悪いが、僕の名前は鏑木 歩(かぶらぎ あゆむ)。 1番最初に自己紹介、テンプレである…

『自分は脅迫されている。何とかしてくれ』 　そんな依頼が来たのは、バレンタインデイのバカ騒ぎも過ぎた、ある日曜の事だった。 　呼び出されたのは都内にある某レコーディングスタジオ…

息子の学校に呼び出された。窓ガラスを割ったらしい。黙ったままの息子の背中を眺めながら、私は暴力的な獣を秘めた自身の背中を、そこに幻視する……。 小さな息子の父親として、自分の本性…

羽佐間乱子は、眉目秀麗、頭脳明晰、ミステリアスな学校一の才女である。 彼女はある日、クラスの窓ガラスを割ったという嫌疑をかけられる。 『学内随一の才女にして問題児、羽佐間乱子。…

その男はハリー彗星に恋をしていた。 だが、恋情とは反比例して体は衰え、今ではベッドの上で横たえながら、愛しき星をまぶたの裏に想い描くことしかままならない。 そこへ届いた兄の声。「…

西暦2015年。日本が合衆国特別州となってから七十年が過ぎたその年、東京高速爆破テロが発生した。犯罪者組織「逆さ十字」による犯行は、その首謀者の逮捕という形で決着した。しかし存続…

「殺伐感情戦線」の「窓」、参加作品です（1日遅れ）。 窓ガラスの向こう側に見えるあなたのことが大好きなわたし。だけど、実際に対面すると、わたしは身体にたちまち不調を来してしまう…

ミランダはドイツから日本にきた移民の子。故郷の雑木林に似た光景の古いニュータウンで、夫のユーイチと共にソーセージとパンのお店を開き、一生懸命がんばってきました。今年はオープン十周…

父親が経営する会社の事務室は、仕事場から少し離れたところにある。 そこには大好きな社員さんがいたけれど、あの日は私以外誰もいなかった。 窓の外には見慣れない人影。 手を振る誰か。…

【第104回フリーワンライ】 ひとでなしの○○（○○は変換可能） 花束 ジョウチョフアンテイ 行こう 曇ったガラス窓

ワンライのお題に対する内容です。 【第104回フリーワンライ】　本日のお題 ひとでなしの○○（○○は変換可能） -花束 ジョウチョフアンテイ -行こう 曇ったガラス窓 この中…

彼女は白い部屋に住んでいた。 壁も床も天井も。椅子もテーブルも。ピアノとその鍵盤も。窓ガラスさえ、白いすりガラスになっていた。 彼女の手足も真っ白だった。血の抜けたような、透き通…

夏の午前3時、勉強の手を休めたそのとき。窓ガラス越しに見えたもの…（表題「夏の宴」）。13年文学フリマ参加時の作品を集めた短編集。残業帰りのタクシーでのできごと（「あまいにがい」…

女はちいさいときから、なぜか、窓ガラスを拭くのが好きだった。 女は大きくなって高層ビルのガラスを拭く仕事のついた。 空から人が降ってきた・・一瞬目があった。

雪の降る日、人は普段とはことなるこころの状況に変じます。いや、人のきもちを天が察して、雪をふらすのかもしれません。 あの討ち入りも、陸軍将校の反乱も、桜田門外のテロも、みな、雪の…

ワンライのお題に対する内容です。 【第53回フリーワンライ】 ○○の主人（○○は変換可能） テント -吹きすさぶ嵐 -虚栄 -曇ったガラス窓 この中から一つ以上選びます。

何も変わらない日常を過ごしていた大学生の白石朱里。 しかし、一人暮らしをしている部屋にイケメンが現れたことで変わらない日常は壊されていく。 大和と名乗った男は突然「僕と契約してほ…

　十数台の大型ダンプカーの列が、真夜中の幹線道路を猛スピードで走った。道なりの人家は明かり一つ無く、窓ガラスをガタガタと震わせていた。ダンプカーは、近くのトンネルから突如として現…