概要
窓越しに伝わる恋心
コンコンコン。
窓を叩く、小さな音。
心臓が跳ねた。
机の上の宿題を払い除けて、部屋の隅の鏡で身だしなみを確認してから。
スマホを片手に、俺は窓の前に立った。
「――ハロー、ヨシト君。今ヒマ?」
「はい、えと、ヒマっす」
二枚のガラスを隔てた向こう側で、彼女が手を振っていた。
――近くて遠い、窓越しに恋する二人の物語。
窓を叩く、小さな音。
心臓が跳ねた。
机の上の宿題を払い除けて、部屋の隅の鏡で身だしなみを確認してから。
スマホを片手に、俺は窓の前に立った。
「――ハロー、ヨシト君。今ヒマ?」
「はい、えと、ヒマっす」
二枚のガラスを隔てた向こう側で、彼女が手を振っていた。
――近くて遠い、窓越しに恋する二人の物語。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!このご時世ならではの出逢いだからこそ、いつかその手を握れることを願って
新型の感染症が流行したことで、授業時間の不足は、宿題や課題になるわけで……。
この物語の主人公も、春休みの宿題の山に勤しんでいた。
まったく嫌になるほど楽しいおうち時間だ。そんな思いに窓の外に視線を向けると、そこに見えるのは隣のアパートの窓。
コンコンコン。
窓を叩く、小さな音。
おうち時間を過ごしていたからこその、素敵なシチュエーションができあがった。
しかし、何気なくも楽しい会話が続くも、その指は二枚のガラスに隔てられ、耳に届く鈴を転がしたような声は、スマホが介している。
――近くて遠い、窓越しに恋する二人の甘酸っぱい物語。この距離に変化が起こることが待ち遠しい。