「震え」を含む小説

　秋も半ば頃、若い警官は退屈していた。 平日の昼下がりはあまりにも穏やかで平和だったのだ。 　このまま時間が流れ何も起こらなかった日、になる筈だった。 この電話を受けるまでは。 …

　アパレル・メーカーに勤務する入社三年目のシノブの上司がコトリ先輩。三十代半ばで課長ですが、とにかく可愛くてキュート、さらに仕事は抜群に出来て後輩の面倒見の良い先輩です。とくにそ…

「残す」ためにやって来た少年少女は、穏やかな水の底で弔いの意味を考える。 【Twitter企画タグ：#三題茶会】 お題 ・交差点の真ん中 ・震えた筆跡 ・溶かしたネオンブルー イ…

【横読みビュワー推奨】 ごく普通のOL丹湖門（にこかど）えみの元に知らぬ間に失踪していた父（六十歳）からメールが届く。 それによると彼は異世界でエルフと同棲しているらしい。 「…

2X19年、日本。 東京のビル群の片隅で、 １人の少女が震えていた。 ―――虚構の神話。 涙が真実を頼んだ時、 全ての嘘は神話になった。

青年には幼馴染の彼女がいた。 その日、二人は村外れの川辺に外出していた。 そこで記念日を慎ましく祝っていた。 その帰りだった。 鬼はその光景を見ていた。 鬼は人の憎しみや悲しみを…

夏の天体観測。夜の屋上。大好きな先輩に告白するチャンスだ。でも、足は震えて動かない。私は星に願う。どうか、この恋が叶いま–––「星に願ってる場合か」。私の願いは遮られた。目の前に…

渓流釣りにやってきた男は、思うように魚を釣れずにいた。そんな彼に声をかけたのは、地元に住む釣り人だった。釣り人は気前よく穴場を教えてくれるという。あとを追った男が辿り着いたのは、…

クリスマスイブの夜に、彼氏と喧嘩をする。 どうもお約束の展開をやってしまったらしい。なのに、ホワイトと言うよりグレーなクリスマスイブの翌日、クリスマス。外に出ると晴れていて、雲は…

嵐の夜、寒さに震えながらネズミを食べる少年がいた。 少年はふと体に違和感を覚えた。 立ち上がって全身に力を込める。 すると体中を無数の虫が蠢くようにボコボコと波打つ。 それを終え…

　”泉の部族”の少女、「メル・アイヴィー」と”風の部族”の青年、「カイ・ウィンディ」は10年来の幼馴染。どこへ行くのも一緒の仲良しでメルのペットの小竜・ツェルコに乗って彼女たちの…

待てど暮らせど勇者が来ないので引退を決意した第82代魔王ミロ・シュ・ガオゼータは部下たちの猛反対に合う。 仕方なく長期休暇の許可を貰った魔王は、勇者の様子が気になり人里へと転移魔…

　僕はティーカップを持ち上げる。水面は震えない。それは僕が贋(にせ)だから。つくられた人間だから。――ねえ、タリス、たとえ僕が君の世界の生き物でなくったって僕は君の子供だ。それだ…

おとぎの国を作り出した少年、グリム。 そんな彼も、実はおとぎの国で楽しく暮らしていた。 でもそこは、皆が知ってるような原作のおとぎの国のとは少し変わったご様子で､､､､､､？？ …

霊能者、保田吉男が挑む難事件。今回はグロータシャインを解き明かす。驚愕の結末に全米が震えた。

現代小説ばかり集めた短編集です。 4,000～8,000文字くらいの読み切り現代小説、自選アンソロジー。 　第一話　野兎 大陸満州の大地を逃げる、女二人と子どもが二人、そして…

　過去と未来から魔法に優れた者を召喚し、人間の天敵である化け物を完全排除するメサイア計画。 　未来から召喚された久遠ミーアは苦悩していた。共に戦うひかりやリーベに大きな隔たりを感…

　寂れ果てた山奥の村で、凡庸で退屈な生活を送る人間たちが、そんな暮らしから抜け出すために、死霊が棲むといわれる峠を抜けて、新天地の城下町を目指す。『精神の弱い人間は必ずや命を失う…

　巨大な影に襲われて、故郷は消えてしまった。 　なによりも大切だった兄さんも、震えて動けなかったうちを守ったことで失った。 　孤独になったうちに告げられる。 『うちの故郷の純血…