「＃伝奇 ＃短編」を含む小説

吸血鬼さんの瞳は、夕空と同じ色をしている。

　小心者のくせに好奇心だけは人一倍な武家の三男坊、木村進三郎は雨の中、ある山寺で一宿一飯の恩義を受ける。その山寺に代々伝わる、決して触れてはいけない漆箱、気持ちを抑えきれない進三…

のけもの同士が恋をした。 男は人の世に疲れていた。 女は化生の宿命に希望を諦めていた。 やり場のない哀しみが惹かれあい、 ふたりのこころをひとつに、黒い情念となる。 「一緒…

十六夜堂──それは何処かにあるはずの不思議な雑貨屋 そこで人は、己の願いを叶える奇妙な道具を一つ、手に入れることができるという これは、そんな雑貨屋を訪れた人々の記録

サンドウィッチの由来としてありそうな作り話。

激しき情念は鬼と為り、神と為る。 其は自覚無き故に呪には非ず、生きたる者の業たれば霊に非ず。 業念が巻き起こす、奇なる現象を《生魑-いきすだま-》と表す。 ここに綴りますはそう…

上野は歴史が残る街だ。 路地裏では昭和後期の建物がいまも使われて、アメ横は戦後の闇市の面影のままに活気を見せる。 そんな上野の中でも、上野恩賜公園にはいたるところに歴史が存在する…

ジャンルがあまりピッタリと思われるものがないので、「歴史・時代・伝奇」としてあります。

天正七年（一五七九）。織田信長の命により甲賀は京都の南蛮寺の寺領となった。 それから数年。明智光秀の忍びであるお毬は、南蛮寺にいる聖人を争奪する命を受けた。 伴天連妖術師と死…

かつてTwitterにて投稿した「ワールズエンド・カーニバルシティ」の読み切りお試し版です。 舞台は、ある者の存在によって魔界と化してしまったロサンゼルス。そこで起きる数々の騒…

　幼馴染で親友同士の高校生、綾子と知美。二人はごく普通な当たり前の日常がずっと続くように思っていた。 しかし、ある日の塾からの帰りに知美が体調を崩し、倒れてしまう。 その時、知美…

「ちょっとうちに遊びに来んか？」 大学時代の友人Ｈから誘いを受けた〝私〟は、母校のある山陰へと向かった。 そこで聞かされることになる三編の奇妙な話たち。 その三編の話には、〝私〟…

ある満月の晩、幼い少年と、吸血鬼の少女が出逢った。 少年は神を信じ、少女は神を憎んでいた。 孤独な二人は互いの存在に一時の安らぎを得るが、流れる月日がその関係を変えていく――。 …

万聖節前夜…ハロウィンを間近に控えて、浮かれ騒ぐ人々 その喧騒から外れた闇の中で「解禁日」の到来を待ちきれなかった怪物達が、蠢き始める そんな外道を始末するのは、闇の仕置人、狩魔…

幕末から明治にかけての生人形師に、松本喜三郎という男がいた。 彼によって「生人形」というジャンルは創り出され、そして彼の死によって終わった。 喜三郎の知らぬところで、その生人形…

第二次世界大戦の危機を怪物に救われて以来、日本は世界で唯一彼らに居場所を提供し、あまつさえ協力して国を発展させてゆくという世界で最も狂気的で寛容な国となっていた。 しかし、怪物が…

《げっか いつくし の きみ》　月光が明るい夜。主人から頼まれた使いを済ませ、急ぎ屋敷へ帰る中、崖上から暗澹とした海を見つめていると、波音に紛れて、ぱしゃぱしゃと軽快な水音が聞こ…

とある国。骨董商を営む 龍麗(ロンレイ)。 ある日、ロンレイの骨董屋にとんでもない宝を持ち込む老人が現れた！