三人キサブロー

作者 奇水

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★★★ Excellent!!!

地に足についた導入からはじまり、そろそろ、そろそろとフィクションのボルテージが高まっていく歴史伝奇小説。ありそうなことだな、ありえなそうなことだな、と半信半疑な気持ちで読み進めるうちに物語世界に引き込まれていく。

そして着地点ではまたしても……。

これぞ胡乱! 「っぽい」伝奇小説を読みたい大人の読者におすすめの逸品です。

★★★ Excellent!!!

史実とフィクションの折衷が素晴らしいです。
キサブローという名前を蝶番して語られるのは明治の秘史といった部分。
実在した武術家や宗教者たちが出てきて関心ある人ならニンマリせずにいられないでしょう。

明治時代が、文字通り「明るい」だけでなく相応の暗さがあったのだと納得させてくれる作品。この短さに凝縮された情報量は圧巻です。

★★★ Excellent!!!

著者初読み。
明治という江戸時代の香りも残しつつ、そして近代も感じる時代が舞台です。
そうした時代の過渡期で、伝奇を書くという目の付け所が妙。勿論、それだけ構成やストーリーが難しくなりますが、本作は見事に料理しています。
特に時代の過渡期を強調する為に、当時の著名人や出来事を登場させたのは、かなり活きていたと思います(ルビがあれば、丁寧かなぁとは思いましたが)
明治でありならが、鬼や方術など伝奇小説の肝をちゃんと抑えていて、確かなスキルを感じさせ、読んでいて次はどうなるかとワクワク状態。

神視点を一切と言うほど使っていない僕にとって、大変勉強にもなりました。