概要
地の涯には、とこしえの黄昏の国がある。
地の涯にはとこしえの黄昏の国があって、そこでは昼も夜もなく、金銀の髪と色とりどりの淡い目をした人が、時の流れるのも知らず暮らしている。放浪癖のある父親は、そういう荒唐無稽な話ばかりを繰り返し、人々からは法螺吹きだと笑われていた。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!草原の、凍土の、砂漠の、灼熱の海の、風を感じる幻想異郷の旅がここに。
これは、遠いどこかで旅をする人の物語だ。
現代の地球ではなく、別の星か別の世界か、
とにかくどこか遠い場所で、機械はなくて、
魔法もなくて、ただそこに存在する異世界。
かつて地球に住む人々がそうだったように、
その世界に住む人々の多くは旅などしない。
髪や目の色、風習の違う人と出会うことも、
普通に暮らしていれば、滅多にないものだ。
だが、この物語の主人公たちは旅を通じて、
異境の自然に出会い、異郷の人々に出会う。
湿度とぬくもりを感じさせる端正な文体が、
それらの出会いのもたらす情景を描き出す。
Azuriteさんのレビューにもあるとおり、
「いつまでも読んでいたい」作品でした。
朝…続きを読む - ★★★ Excellent!!!静かで透明で切なくて
ゆっくり読ませていただきました。
導入部の独白がとっても雰囲気があります。勝手にスタジオジブリの映画なんかに出てきそうな村のセットで脳内変換しました。おっさん、オバハンが酒かなんか飲んで「ありゃ〜な〜」的な昔語りなんかしながら、グダをまく。前後関係わかんなくなってもOK。セリフの息遣いを楽しみましょう。
本文はピーター・オトゥール主演映画「アラビアのロレンス」のセットにフランク・ハーバート著「砂の惑星」の部族民の村の感じ。ただし暴力シーンと特殊能力要素はゼロで。この物語は静かで透明で切ないのです。
全体を通してでてくるのはヨブという名の多分20代後半から30過ぎぐらいの砂漠の男なんです…続きを読む