第7話

なんかばたばたしてんな。何やってんだ。


「あれ、二人でお料理?」

「はるおてっだいー!」

「おかえりぃ。ハンバーグ作ってんだよね?」


ねー! とはるはタネでべったべたの手を掲げた。


「なんとまあ。手の掛かることを…」


はるはやりたがるだろうけど、一緒にやろうとしたら時間も手間も倍増だろうに。


「ほんとにありがとう。ひよもらうか作るの代わるよ」

「いいよいいよ! あんまり会えないんだからたまに会えたらもうずーっと一緒にいたいくらい!」


私のエプロンを着けた俊介くんの背中にはすやすやと眠っているひよまで背負われている。

あっつい体にくっつかれたら背中だって汗びっしょりだろうに。

俊介くんはぽんぽん、と掌の上でハンバーグを弾ませ成形しながらくるりと振り返った。


「あっ! お嫁さんかわいー!!」


にっかー! と笑うから目はなくなるくらい細くなって大きな白い歯が見える。


「髪すっきりしたね! なんかセットもしてある!」

「ありがとう。お陰様でゆっくりできました……。切っただけなんだけど、最後ちょっとワックス付けますねとか言われたかな」


自分ではできないからお風呂入ったらまたぺったんこだけどね、なんて照れ臭くなって補足する。


「いいじゃあん。かわいー。かわいー!」


俊介くんはにこにこと繰り返した。


「はるも!はるもかわいー!」

「はるは世界一可愛いに決まってんじゃあん」

「はるせかいいち!」


はるが割って入った瞬間でれでれに笑み崩れるのが見ていておかしい。今日一日ずっとその調子だったのかなあ。

ハンバーグ作りに合流して、俊介くんが「そろそろみんな帰ってくるっしょ」と言ってできた物からフライパンに並べ始める。


「大家族だから1回じゃ全然焼ききらないもんねえ。お嫁さんいつも大変だ」

「そういえば俊介くんはお料理できるよね。圭介さんは全くできないんだけど」

「俺もまーったくできなかったよ! 実家だと作らなくていいし、そもそも外食多くてうちは母ちゃんもそんな作らなかったし。俺は家出たからね。一人暮らししてからかな、ちょーっとだけできるようになったの。お嫁さんの腕には到底及ばないけど」

「充分だよ。まさか晩ごはんまで作ってくれてるなんて思わなかった!」

「えー? そうでないとお嫁さん早く帰らないとって思っちゃってゆっくりできないでしょう。あ、洗濯も畳んどいたんだけど、片付ける場所分かんなくて積んであるからあとそれだけお願いします」

「あー! 洗濯! 私回しただけで干すのも忘れてた!」

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