第6話

見た瞬間に噴き出した。

はるのおままごとに付き合ってお店屋さんごっこのお客さんをしてくれているんだろう。すごい人気店というのは、彼の肩に乗ったうさぎさんや膝のくまさん達もみんなお客さんということだろうか。よく落とさずに写真まで撮れたものだ。


<お疲れさま>

<この前大きな器でプリン作ったよ>

<気に入ってくれてたのかな>


そう返信した。


<いいなぁー!>

<俺も食べたかった>

<どうりでカレー皿サイズのプリンが出てくる訳だ>


しばらくしたらまた返事が来ている。

遊び相手の合間によく打てるなあと思ったけど、そういえば俊介くんめちゃくちゃ打つの速かったっけ。

そうして返信を打とうとしていたら動画が送られてきた。


「お子さんですか?」

「そうなんです、今日は夫の弟と遊んでくれてて」


美容師さんも話しかけてくれたのでタップして再生する。俊介くんの持つスマホがはるに向けられていた。


『はるさーん、はるさーん? お母さんの作るお料理でー、1番好きなのは何ですかー?』


画面外から俊介くんのインタビューする声が聞こえてくる。

えっ、何だろう気になる。コロッケかな、オムライスかなあ。


『おかあさんのおりょうり? はるねー、ぷりん!』

『プリンが1番好きなの?』

『ぷりん! あのね、おかあさんのはこーーのくらい! おっきいんだよー!』

『いいなあー! ……だ、そうでーす。俺も食べたいですお嫁さーん』


カメラの向きが変わって、俊介くんが唇を尖らせてこっちを見つめていた。ふっと笑って返信する。


<今日のお礼に今度絶対作るね>

<やったー! ひよさんもミルク飲んでお通じ出してご機嫌で寝てるよ>


それを見て安心して美容師さんの心地良いハサミ捌きに身を任せた。

プリンなんてお安い御用だ。今度俊介くんが帰ってくるときはご馳走を用意しよう。あーでも、あの人いっつも予告なしで帰ってくるんだよなあ。自分の実家なんだから良いんだけどさ。


「ただいまー!」

「おかえりー! ごめん、ちょっと手汚れてて荷物取りに行ってあげられないわ!」

「い、いいよいいよ! 一人なんだし」


夕方、うきうきで家に帰ったら台所の方から俊介くんの声だけが飛んできた。


「おかえいー! おかあさんおかえいー!」


はるの声もしている。


「あ、ちょ、はるさん?! その手のまんまあちこち触ったら駄目だって!」

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