episode 2
第12話
ふわふわした気持ちのまま帰宅して、ふわふわした気持ちのまま眠りについて、ふわふわした気持ちのまま出勤した。
藤宮さんとご飯に行っただけなのに相当浮かれてるな、私。
我ながら恥ずかしい。
いつもの満員電車の中で気を引き締めようと一度気合を入れ直す。
その瞬間に、
「っ!」
電車が激しく揺れて、目の前に立つサラリーマンの胸にダイブしてしまった。
と同時に目に入る、私の口紅で汚れたYシャツの襟もと。
サーっと自分の血の気が引いていくのが分かった。
「すみません!クリーニング代…というか替えのYシャツ買ってきます!」
これから出勤だというのに、こんな下品な汚れをつけさせてしまった。
慌てふためく私に、
「大丈夫ですよ、七瀬さん。」
あれ…、どこかで聞いた声?
また小さく電車が揺れてふらつきそうになる私の腕を咄嗟に掴むその男性を見上げると、
「おはようございます。」
う、わ…
今度は違う意味で血の気が引いていきそうだ。
「五十嵐君…。」
昨日、私がみっともない姿を見せながら連絡先もお断りした営業の五十嵐君がそこにいた。
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