第11話

大学時代の話、社内でのちょっとした噂話。


いろいろなことを話して、楽しくて、終電の時間が近づくのがこんなに惜しいなんて。



仕事のことを褒められて上機嫌になってしまった私はまた明日からもがんばろう、なんて単純にも程があるかもしれない。



「本当にご馳走様でした!今度は私が何かご馳走します。」


会計を済ませてくれた藤宮さんにお礼をすると、


「後輩がそんなこと気にすんな。」


爽やかな笑顔で、行くぞと言わんばかりに私の背中を軽く押した。



お酒のせいか、心臓がいつもより早く動いている気がする。


触れられた背中がやけに熱くて、顔だってきっと赤い。



でもこれも全部お酒のせい。



すぐ横にいる、まるで素面のような藤宮さんの表情を盗み見しながら、私は少しだけ浮かれた気分だった。

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