第22話

「本当にご馳走になっちゃってすみませんでした。」


「当然だよ。最初からそのつもりだったもん。」



会計を済ませて外に出ると、少し申し訳なさそうにする五十嵐君。


そして会社までの少しの距離を二人で歩きながら、



「七瀬さん、あの…。」


不意に立ち止まって私を呼びかける。


反射的に私の足も止まって、後ろを振り返れば、



「またロビーとかで見かけたら話かけても大丈夫ですか?」


「え?うん、それは全然…。」


「よかった。」



そんな聞くまでもないことなのに…


私の返事に満面の笑みを見せると、



「俺、コンビニ寄って戻るので…本当にご馳走様でした。」


そう言って会社のすぐそばにあるコンビニの方向へ少し駆け足で向かった。



一緒に戻るところ見られないように気を遣ってくれたんだろうか。



どこまでも、周りを見ている子だな…なんて。



爽やかで、人当たりも良くて、仕事もできて、おまけにあのルックス。



こりゃあモテるわけよ。

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