第23話

その日の夜、約束通り真夏と会社の最寄駅のすぐ近くのお店で飲むことに。


会社のトイレで軽く化粧を直して、二人で会社を出たのだけれど、



「もうお店まで待てない!どうだった?」


会社を出てすぐに口を開く真夏。


その目はキラキラといつも以上に輝いている。



「どうって…普通にランチしただけ。」


「そうじゃなくて、感想を聞いてんの。」



歩く振動以上に、動作が大きくてさっきつけたばかりの真夏のピアスが大きく揺れる。


ビューラーで立ち上げ直した長いまつ毛も、その目の大きさをさらに際立たせていて、話している途中にも関わらず、



「やっぱ真夏って可愛いよね。」


そんなことを口にしていた。



「えー待って。何それ、嬉しい。」


首を小さく曲げて、結構本気で嬉しそうにするその仕草すら可愛い。


元々、愛想が良くて愛嬌も抜群の真夏。


男の人ってきっとこういう女の人が好きなんだろうなって何度も思わされてきた。



「真夏みたいになれたら私も違ったかなー。」


「つまり、何かを後悔してるわけ?」


「後悔っていうか…自分の余裕のなさにガッカリしてるってだけ。」



少なからず好意的な態度を示されたらそれ相応の対応をしたい。


五十嵐君…


別に悪い子じゃなかった。



もしかしたら向こうはそこまで考えていないかもしれないけれど、少し関わってみるくらいありだったのでは…


なんて、今になって少し考えたりする。



そうこうしているうちに目的のお店についた私たちは、とりあえずとビールで喉を潤すことにした。

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