第24話

「葵がそんな感じなの珍しい。やっぱり五十嵐君結構良かった?」


「珍しいも何も、ここ何年もこんなのなかったからさー。」


「葵はガードが堅そうに見られんのよ。高嶺の花だし。」


「そんなわけ。愛想ないだけだよ。」



元々、大人数も得意ではないし、俗にいう陽ではない。


だから誰とでも気さくに接することができる真夏が入社当時から憧れだった。



「五十嵐君かぁ…久しぶりすぎて意識しすぎてるだけな気がする。」


五十嵐君だから、とかそういうことじゃない。


きっと違う人でもこうなっていた気がする。



「そうかな、私は年下は恋愛対象外だからそういう風に見てなかったけど、でも人としてあの子まじでちゃんとしてるよ。」


「それは何となくわかる。」


「まぁプライベートは全然知らないけど。でもまぁ、若いし意外と遊んでる可能性もあるけどね。」


「…あの見た目なら当然っちゃ当然。」


「でもありかなしか、で言ったら?」



タイミングよく運ばれてきたビールを慣れた手つきで軽く乾杯してすぐに、


「なし、じゃない?」


大きな一口でそれを流し込む。



「えー、つまんない。」


「24とか25の男に、三十路は重いでしょ。」



例えば、軽く2年3年付き合ってフラれたら?


さらに年齢の重みは増してくばかり。



それって結構リスキーだよね。



今まで年齢のことなんかまるで考えてなかったのに、30代に突入するとなるとそういう先のことまで考えてしまう。



きっと私がしっかりと結婚願望もあって、子供も欲しいなんて思っているからに違いない。



そんな30女の願望は20そこそこの男の子には絶対に重すぎる。



そんな考えと、でもやっぱりちょっとくらい…と思う気持ちが自分の中で何度も交差してもはや自分でも訳が分からなくなっている。



こんなんじゃ30どころか、恋に浮かれる10代の女の子と一緒だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いつか終わらない恋をして。 @miura_m

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ