第7話
「藤宮さん、今日は直帰って…」
「七瀬がまた遅くまで残ってるんじゃないかって心配で。」
大学時代から面倒見が良くて、それはもうモテモテだった藤宮さん。
入社してからずっと違う部署にいた私のことも気にかけてくれていて、優しい上司だ。
仕事もできて、部下への気配りも忘れないその人柄は大学同様、社内でも屈指のモテ男。
いまだに独身という事実もあってか、社内で藤宮さんを狙う人はかなり多いらしい。
「ごめんな、慣れない仕事なのに他のヤツと同じようにまかせちゃって。」
「当然です。異動したばかりだからって甘やかしてほしくないです。」
「七瀬の評判は入社したときからずっと良いんだ。ここに配属されて俺も鼻が高いよ。」
茶化すように笑う藤宮さんに、
「ほめて伸ばそうとしてくれますよね昔から。」
恥ずかしいのと嬉しいのと、くすぐったい気持ちから小さくため息が漏れた。
「ただの本音だよ。」
ポンと頭に優しく手を置かれて、不覚にもドキッとしてしまった。
昔から優しく笑う藤宮さんのこの雰囲気がたまらなく素敵だと思う。
恋心とは少し違うけれど、憧れの人。
そんな存在なの。
「今日は切り上げて、軽くご飯でも行くか。」
「本当ですか!ぜひ。」
まだ少し仕事は残っているけれど、藤宮さんとのご飯だなんて願ったり叶ったり。
明日は今日の倍頑張れそうだよ。
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