第14話

お昼に会社の前の広場で、そう言って電車を降りてしまった彼。


あの笑顔は危険だわ…


人を惑わす力がある…



そんなことを考えながら、エレベーターを待っていると、


「七瀬、おはよう。」


後ろから声をかけられた。



「藤宮さん!おはようございます、昨日はごちそうさまでした。」


昨日の余韻が再び呼び起こされて、隣に並んでエレベーターに乗っているだけなのに緊張してしまう。



「思ったより帰り酔ってたから寝坊しないか心配だった。」


「そんなに酔ってませんよー。」


「そうは見えなかったけど。」



クスクス笑う藤宮さんにつられて笑みがこぼれてしまった。



うん、今日も一日がんばれそうだ。

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