第19話

社食が充実しているせいで、外にランチに出る人は意外と多くはない。


この広場を通る社員もまばらで、向こうから駆けてくる五十嵐君の姿を見つけるのは案外容易だった。



「すみません、お待たせしました。」


「待ってないよ、今きたところ。それより今朝は本当にごめんね。」


水色の真新しいストライプのYシャツが爽やかさをさらに際立たせている。


本当にちゃんと着替えあったんだ…



「気にしないでください。今朝着てたの、結構もうよれてたんでちょうどよかったです。」


そんなの絶対嘘なのに、気を遣わせないようにしてくれているのがわかる。


「ありがとう、ランチどこ行く?定食とかでガッツリ?」


「七瀬さんは?普段どういうところで食べますか?」


普段は社食かお弁当が多いけれど、外に出るとすると、



「私も定食大好きだからすぐそこの定食屋さんに行ったりもするよ。あとは穴場で美味しいのが夜はバルなんだけど、昼間は日替わり定食やってるそこの角曲がったところ。」


「へぇ…ちょっと気になります。」


「じゃあそこ行こうか。」



最近できたばかりなのかただ私が知らなかっただけなのか。


真夏と先月見つけた雰囲気の良いお店。



社内の人にもあまり会うこともなく落ち着いて食べられる場所。

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