第20話

店内に入ると、すでに何組か席についてはいたけれど、すぐに席に通してもらうことができた。


私たちのようにお昼の休憩にランチを楽しむOLやサラリーマン、大学生くらいの男女もいる。



「雰囲気良いですね。」


席についてすぐに嬉しそうな笑顔を見せる五十嵐君に、でしょ?と少し自慢げな私。



二人で今日の日替わり定食のチキン南蛮を注文して、運ばれてきたお水で喉を潤す。


どうしよう。


なんか緊張してきた、かも。



意識すると余計に何を話したら良いかわからなくなってしまう。




「七瀬さん、いつもあんな遅くまで残ってるんですか。」


「あ、うーん、どうかな。いつもってわけではないんだけど…」


まぁ、定時で帰れる日を数えた方が早いのは事実。



「異動してきたばっかりなのもあるけど、人より仕事覚えるの遅いのかも。」


自分で自分に苦笑い。



「そんなの俺も一緒ですよ。」


「五十嵐君の評判は私でも知ってるよ。期待されてるでしょ。」


「たまたま良い取引先に当たってるだけだと思います。」



なんて謙虚…



真夏がよく話してたのって今思えば五十嵐君のことだったんだ。


後輩の同期は名前を出して話してくれていたけど、真夏は後輩としか言ってなかったら…

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