第2話

大学時代から6年間付き合った彼氏と3年程前に破局して以来、彼氏はいない。


つまりはそういうおひとり様としてバリバリ仕事します、なんて具合に分類されてしまったのだろうか。


人事が私の個人的な事情を知るはずも無いのにそんなことを考えながら、自販機の置かれたロビーまでの道を1人歩く。



やけに静まり返った廊下も、真っ暗ではないけれど少しだけ不気味さがある。


でも、建物自体は新しいはず。


やっぱり昼間の賑やかさに慣れてしまっているせいね。



昨日がノー残業デイだったおかげで今日は仕事がたくさん。


終電までに終わるかな。


なんて、まだ片付いていない書類を頭の中で並べながら小さく息を吐いた。




…あれ?


あそこも残業組がいるのかな?


ロビーのすぐ横に位置する営業部から控え目につけられた灯りが廊下に漏れていたのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る