第5話
「あの…??」
あまりに意味のわからない展開。
初めましての後輩からのこんな言動、今まで経験するはずも無く、戸惑いを隠せないでいる。
「七瀬さん、ですよね?」
その子は首から下げた社員証に一度視線を移して、
「経営企画部の。」
さっき来た道、経営企画部の部署を指さした。
「そうですけど…って、あの!」
表情を崩さないその子に流されてしまっていることにようやく気がついたところで、
「ジュース!私ミルクティー飲めないんで。」
甘いものは苦手。
飲んだ後もずっと口の中にも胸にも胃にも残るあの感覚がどうも苦手なんだ。
「じゃあ代わりに何か買わせて頂きますね。」
「へ?や、あの、良いです!ミルクティーで良いですから!」
自分でもちぐはぐな事を言ってる自覚はあった。
けれど、この場からすぐ離れたくってとりあえず話を無理やり切る手段として、そのミルクティーを受け取る。
そしてそのまま一度軽く頭を下げて速足でその場を去ろうとしたのだけれど、
「営業一課の五十嵐世那です。」
腕を軽く掴まれ、
「連絡先教えて頂けませんか。」
直球で伝えられた一言。
真剣な瞳に吸い込まれそうで、目を逸らせなくて、わけもわからず、
「ごめんなさい!」
気づけばそんな返事を返して、逃げるようにその場を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます