第二話 太陽の我儘
プロローグ
小さい頃から主導権は太陽にあった。
太陽はその容姿のお蔭で目に見えない“力”を持ってる。
それはあたしだけに行使されるものじゃなく、太陽の周りにいる人たちは自然とその外見に騙されて主導権を譲ってしまう。
あたしはそれを不服に思った事はない。
……というよりは、不服だという感情が芽生える暇もなく、それが当たり前なんだと植え付けられた。
太陽が黒い物を指差して「白」だと言えばそれは白だし、何かがしたいと言い出せば、それに付き合うのは当たり前。
そりゃ確かに今は、あたしだって昔ほど子供じゃないから多少は自分の意見を口に出すけど、結局のところ最終的には太陽の思い通りになる。
そうなったところで、物凄い反発心は出てこない。
それが慣れってものなのかも知れない。
まぁ太陽が言ってるんだからしょうがないやって、心のどこかで納得してしまう。
そしてそれは、あたし達が表面上付き合ってるって事になったあの出来事にも当てはまる。
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