第7話 猫に誘拐されました⑦
「なぁルナ、どうやったら魔法を打てるんだ?」
俺らは今、人気
「魔法に限らず、発動したいスキル名を言うだけで使うことが出来るぞ」
魔法を使うのには長ったらしい呪文とか必要なのかと思っていたが、案外親切設計で、そこは助かる
俺は早速、習得したばかりの魔法を打ってみることにした
「『ライトニング』!!!」
俺がそう叫ぶと、俺の周りにスパークがまとわりはじめた、そのスパークは徐々に俺の指先へと集まって行き、やがてそれがイナズマの如く地面に刺した!
「おお!これが魔法か!!」
子供の頃、誰しもが夢に見た事があるであろう魔法が、たった今実現され、俺はテンションがかなり上がった
「おい落ち着け、そりゃただの初級魔法だ、敵にダメージは与えれると思うが、致命傷には程遠いからな」
ルナがそんなことを言ってくるが俺の耳には届かない!もし日本に帰ることが出来たら、この事自慢してやろう
そう浮かれている俺に、ルナは面倒くさそうに、公園のベンチの上で丸くなっていた
「なぁ!俺でも中級魔法とか使えるのか!?中級魔法ってのはどんななのだ?」
そう俺が興奮のやまない声で聞くとルナが答える
「中級にもなるとそれについての知識がないと難しいだろうな、あと相性もあるから使えるかはわからん」
なるほど、誰でも使える訳では無いんだな
ルナは続けて言う
「そして初級魔法ではどの種族も習得でき、魔法が使えるが、一部の魔族や人間なんかは素質だったり相性で習得できない場合もある」
そのメカニズムがよくわからん仕組みはどうやって成り立っているんだろうか?
ただまあ考えてもどうせ分かりっこないので、次にある行動に出た、それは
「すみません!クリムゾンベリーのジュースとパイください!」
俺はそこそこ繁盛している酒屋に来ていた
俺はこのガヤガヤした雰囲気はあまり好きじゃないが、そんな俺がなぜここにきているかと言うと!
「なぁ、ぽっと出の自分らに対して入りたいって思うやつなんかいるのか?」
ルナは突然そんな不安を垂らす
そう、俺らは仲間を募集することにした
ゲームにしろ、仲間が居なければ何も始まらない、前線を守る戦士や様々な魔法を操る魔法使い……拳で語り合う拳闘士ってのもいいな!
「だいたい募集紙の位置もうちょい変えた方がいいんじゃないか?」
様々な妄想を張り巡らせている最中に、ルナが邪魔をするかのように口を挟む
「仕方ないだろ、あそこしかスペース無かったんだよ」
俺らは酒屋で皆が自由に依頼書や募集紙を貼れるコルクボートの端っこに、募集紙を貼っている
それがいけないのか、はたまた純粋に俺らがまだ力不足なのか、かれこれ1時間待っているが誰も来てくれる様子はなかった
「こちらベリーのジュースとパイでございます、では」
そう言って、ジュースとパイを置いたウェイターさんは厨房に消えていった
ルナがパイにガッつきながら
「なぁ、やっぱりもう少し名が売れてからにした方がいいんじゃないか?」
ルナがそんなことを言ってくる
まぁ確かにぽっと出の初心者パーティに入りたいだなんて物好きは居ないのかもしれない
それに、ここの雰囲気がやけに強そうな雰囲気なのだ
強そうとはいえ、俺と比べてオーラが違うというか、中級者って感じだ
明らかに浮いているので、少しレベルを積んでからの方が良かったのかもしれないな
俺はもう諦めることにして、席を立とうとしたその時だった
「すみません、募集の紙を見てきたのですが、ここで間違いないでしょうか」
目の前には、白衣を着た少女がそこに立っていた
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