第4話 猫に誘拐されました④

 「魔王軍が来やがった!」

 そういうとルナは付いてこいと言わんばかりに部屋から出て走っていく

 ちょ...!うそだろ!?俺ただの高校生なのに、マジで戦うの!?

 俺は戸惑いながらもついて行くことにした

 宿の受付に「一旦出ます」とだけ伝えると、一本道に色んな店が並んでいる街

 その人々は、金属製や皮の装備と剣、杖や盾などを装備した人が次々と噴水に集まって行き、他の市民っぽいラフな服装をきた人たちは、みな建物に避難して行った


「おいルナ、俺まだ装備とか武器とかなんもないんだがどうやって戦うんだ?」


 そういうとルナは


「そこら辺ある店から買うか、できるだけ急ぐぞ」


 と言って当たりを見渡す

 当たりは少し暗くなってきており、街灯に明かりが灯っている

 この国にはまだ電気なんてまだないと思うんだが、恐らくこれも魔素とやらで動いているのだろうか

 そして俺はある看板を見つけた


「おいルナ、ここが武器屋じゃねぇか?」


 そう聞くとルナはでかしたと言いそこに入る

 俺もあとに続いて入った


「らっしゃい兄ちゃん、見かけない服装してるな」


 かなりガタイのいいスキンヘッドの店員は、そう言って俺が着ているカッターシャツをまじまじと見てくる


「おっちゃん、なんか武器と防具ないか?」


 そういうと店員は


「お前さんなんベル持ってるんだ?」


 と言ってきた

 俺は袋の中身を見てみると、金色の硬貨が20枚入ってた

 恐らくこれがベルという通貨なんだろう、だが価値が分からん


「ルナ、これなんベルなんだ?」


 そう聞くとベルもそれを覗き込んで


「金硬貨は一個一万ベルだな、だから二十万ベルだ」


「高いのか安いのかよく分からないんだが、どれくらいの価値なんだ?」


「たしかお前の国の円って奴と確か同じだな」


 おお、それはわかりやすくて助かる

 つかあの王、二十万だけ渡して魔王退治してこいなんて言ったのか!こんな金でどうしろってんだ!すぐ無くなるぞ


「てか直接見せればいいだろ」


 あ、その発想はなかったわ


 俺はあの武器屋でダガーのような短剣と、それを腰掛けできるベルト、なにか使えないかと爆発するポーションに、そして皮の装備を購入した

 合計で五万ベルだった

 なんで武器屋に爆発するポーションがあるのか謎だったが、多分強いなとゲーマーの感が言っていたので買ってみた

 そして噴水の広場に到着するとまだ戦士たちはそこにいた、どうやら間に合ったみたいだ

 それぞれガタイがいい大剣を持ったひとや、本を持って眼鏡をかけた人など様々な戦士たちが集まっていた


「魔王軍は北から進軍してきています、どうかこの街を守ってください!」


 と拡声器を持ったお姉さんが広場の中心でみんなに呼び掛けていた

 戦士たちはそれぞれ「オーーー!」と掛け声をあげると移動して行ったのでおれもそれについて行くことにした

 俺たちは三十メートルくらい(マンションで言えば十階建てくらい)はある外壁を背に魔王軍を待ち構えていた、魔王軍たちはコボルトやオークを筆頭に様々なモンスターが集って攻めてきている、兵士たちはそれぞれ剣と盾を構えて後ろには杖を持った魔法使いや本を持った聖職者、色んな職業の戦士たちが集まっていた

 すげぇ、マジファンタジーじゃん!

 あまりのファンタジー世界らしい光景に感動しているとふとあることに気づいた

 全員街から集まってきた人たちで、俺が言える立場では無いのだが、はっきり言って、強そうには思えない

 その事を話すとルナは言った


「ギリギリだと言っているだろう、強い冒険者たちは既に皆、最前線に派遣していていないんだ」


「なんで残しとかなかったの?バカなの?」


 ルナは俺のツッコミを無視するかのように魔王軍たちを見ている

 この国はもうダメかもしれない

 そんなことを思っていたら、魔王軍が二百メートルくらいにまで近づいた時、前衛職たちは一斉に向かって行った!

 何だこの迫力!?と俺がそんな迫力に気圧されつつも俺はある策を思いついていた

 短剣を買ったが、さすがにただの高校生が短剣なんて振っても当たりすらしないだろう、そこでだ

 この世界、なぜか遠距離手段が魔法しかない

 さっき店員に弓とかないのかと聞いたら逆に何それと聞かれた

 だから多分魔王軍も遠距離は攻撃してこないはず

 そこで俺はある秘策を考え、王国付近の曲がりくねった木を登った、曲がりくねっているので案外簡単に登ることが出来た

 こっから爆発するポーションを手榴弾の如く、アイツらに投げて一方的に蹂躙してやろうと、そんな発想だ

 一度ルナにこの作戦を伝えたら「なんて外道な」と引かれたがなぜか俺には自信がすごくあった


「まだバレてないはず」


 俺は早速リュックから爆発するポーションを取り出して思いっきり投げつけた!


「ドォォォォォンッッッ!!!」


「ちょ!?」


 思ったより大きい爆発が、森の中で炸裂する、その熱風を運ぶ衝撃波がデカくて、俺も少し巻き込まれた

 まじかよ、この木結構高いのに!

 だが効果は抜群のようで魔王軍は突然の爆発に何も抵抗できず、魔王軍の四割近くが爆散した

 若干街の戦士たちも巻き込んだ気がするが、多分大丈夫……なはず

 そんなことを考えていたらいきなり、俺が乗っていた木がバチッ!!っと音を立てた


「うぉ!?あっちぃ!!」


 どうやら魔王軍の魔法使いがライトニングっぽい魔法を俺に向かって打ったらしい

 木が焦げ臭い匂いを立てていた


「待ってくれ!直撃したら死んでたぞ絶対!!」


 やばいここに来てなんだが怖すぎる、マジで死を感じたぞ

 すると北の方から声がした


「そこの少年よくもやってくれたな!!」


 そう言ってきたのは魔王軍の1人、だが奴は他の魔王軍と違って人型、遠目で見るとやつは頭には角が生えている赤髪の奴

 そのいかにもボス的ポジションにいそうな奴が、俺に対して激昂していた

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