猫が俺を異世界に誘拐しました
@tuyurona
第1話 猫に誘拐されました
プロローグ
「汝、異世界から来た人よ、この国もうほんとにやばいため、なんとかお前さんの力で魔王を倒して来るのじゃ」
俺はどこにでもいる、至って普通の高校二年生「鈴木和也」
そんなただの一般人が、なぜ国王にそんなこと告げられてしまったのか
それはいきなり俺をここに連れてきやがった猫のせいだった...
本編
「おつかれさまでした!」
「うい、おつかれ!」
7月の暑い夏
高校の冷房がなく、ジメジメした蒸し暑い体育館の中で汗だくのまま、先輩に挨拶を済ますといつものマイラケットをカバーにしまう
時計はもう5時で、部活が終わる時間だ
俺は体操服から制服に着替えたあと、高校を出て少し歩いた先にあるバス停に行き、バスが到着するのを待つ
バス停周りはとても静かで、通行人はほとんどおらず、シルエットに見える街の風景と夕暮れが綺麗だった
親が何でもいいから部活には入れと言われて仕方なく入った卓球だったが、案外楽しくて、汗だくでしんどいながらも続けている
そんなことを考えていたらバスが到着した
いつもはもうちょい遅いんだが、今日は早いな?
そう思いながら俺はバスに乗り込んだ
今日はバスの中は誰も居なかった
ガタンと音がなり、扉が閉まる
「ふぅ」
バスの椅子に座ると疲れがどっと押し寄せてきた
冷房の効いた車内はやはり涼しくて居心地がいい
にしても...疲れたからだろうか?いつもより眠気が凄い
寝たら絶対寝過ごすのは分かるが、次第に首に力が入らなくなり、そのまま目をつぶる
目をつぶるだけなら大丈夫なはず、俺はそう思いながらも意識が遠のく
やっぱり...少しくらい寝ても起きれる...はず...
「ゴトッ」ふと俺は何もいないはずのバス内で物音が聞こえた気がした、しかし
「次は○○○○、○○にお越しの方は...」
俺は結局、アナウンスの声など耳に入らないほど俺は寝落ちしてしまった
意識が飛んでいる中、ふと声が俺の耳に入ってきた
「次は影の丘、影の丘」
運転手が発した、聞いたことも無いバス停の名前に俺は目を覚ます
かげのおか?影の丘?
意識が覚醒していくと同時に徐々に今置かれている状況を理解しだす
聞いたことない名前、まさか寝過ごした!?
俺は慌てて窓の外を見た
すると、暗い色の木が不安定な土の道を囲むように生え、日光は点々と射しているが、ほとんど影で、その影を作っている木は曲がりくねっていた
嘘だろ!バスってこんなところまで行くのか!?
スマホを見て調べようとする
がしかし、電波は飛んでおらず、圏外だった
どんだけ寝過ごしたんだよ俺!
焦りが加速する中、ふと隣に誰か座っていることに気がついた
誰か座っている、だが、人間の赤ちゃん程度しかない大きさだ
よく見てみると椅子の上にまるくなっている黒と白の模様がある毛むくじゃらの体に、しっぽが生えていて、頭部と思われる部位には三角形の耳が生えていた
「...猫?」
なんでバスに猫がいるんだ?
そう呟くと隣にいる猫の耳がピクッと動き、こちらを見てきた
青とオレンジのオッドアイで目の上に白いまろ眉がある、そして髭が長いのが特徴的な猫だ
その猫は怪訝そうな顔で見る俺を一瞥すると
「やっと起きたか、お前もうちょい早く起きれなかったのか?バスん中で8時間も爆睡とかアホなのか?」
「お?なんだお前開口一番俺に対して説教とはどういうことだおい」
目の前にいるふてぶてしい喋る猫がいきなり気だるげに喋ってきて俺に説教を垂れてきた
「お前と呼ぶな、名前はルナトールだ、自分のことはルナさんと呼べ」
「なんで猫にさん付けしないといけないんだよ、あとなんで猫が喋るんだよ」
そんな俺のツッコミを無視し、ルナは表情を変えることなく真顔のまま続ける
「自分が今ここにいる理由は、お前を案内するために来てやってんだ、分かったか?」
なるほど、サッパリわからん
「知るかよ、猫が喋るのは1000歩くらい譲ってやるとして、なんで俺がお前に案内されるんだ?てかどこに案内されるんだよ」
そういうとルナはバスの席で相変わらず丸くなりながら応えた
「詳しく話すと長くなるから簡単に説明してやる、お前がここに来た理由は単純明快だ、実はこの世界にある国が深刻な人手不足でな、なんでもこの国の遠くに離れたところからわざわざ近くに魔王軍が住み着いていて、ずっと攻め続けられてるんだ、だから他の世界から人持ってくればよくね?って事でお前をここに連れてきたって訳だ、だが連れてきただけじゃそいつが可哀想だから自分がお前の使い魔として手助けしてやろうという話になったって訳だ」
……
「それ誘拐ですよね」
「違う、これは人手が足りないゆえのやむを得ない手段を取っただけであって」
「誘拐だろ!おい!どう考えても超えちゃいけないライン超えてるだろ!」
俺はそんなバカことを言うこいつに怒鳴っていた
国とやらは連れ去られた人の気持ちなんて頭に無いのか!?
「大体なんで俺はいきなり連れてこられてその国とやらを助けなきゃなんねぇんだよ!」
俺がそう言うとコイツは、
「まぁ落ち着けよ坊主、自分はただ人に言われたからやっただけだし、たしかお前の世界は異世界と言うのが好きなやつ多いだろ?だから若い男の子なら喜ぶと思ったんだが」
「異世界転生と急な異世界転移は違ぇんだよバカ、あと坊主っていうな、しっかり俺にも和也っていう名前があるんだ」
「別に呼び方なんでどーでもいいだろ〜?いちいち人の名前なんて覚えてられるか」
面倒くさそうな表情で猫はそんな舐めたことを言ってきた
コイツ1分前の自分の発言覚えてないのか?案内してやるとか言ったがこの態度、絶対使い魔向いてねぇだろこいつ
それに、確かに俺は異世界転生物やファンタジーなラノベはよく読むし、もちろん憧れたりもした
だがそれは不幸にもトラックに引かれたり女子高生助けようとしてトラクターに耕されたり、とにかく死んでから転生するのが定石だろ!
これじゃただの神隠しじゃねぇか
「帰して!俺はお前の世界に行くつもりは無いし、明日は土曜日で休みなんだよ、ゲームで夜更かしする予定だから早く帰してくれ」
そういうと猫はあくびをしたあと首を横に振り
「残念ながらこっちに連れることは出来るが、帰る方法は無い」
は?つまりもう日本に帰れないってことか?
嘘だよな?帰ったら友達がネトゲで待ってるんだが
だいたい行きが出来たんなら帰りもできるだろ
唖然とする俺にその猫は、俺の思考を見透かしたかのようにこたえる
「行きができたんだから帰りもできるだろとか考えていそうだから言うが、お前に使った魔法は、別世界からこの世界にテレポートする魔法だ、よってお前は帰ることが出来ない」
そんな舐め腐った態度を取りながらも、返品不可の言い渡しを受け
「おま、ふざけんなよォォォォォ!!!」
怒鳴りながらも俺はさっさと、こんな国滅べばいいのにと思った
しばらくバスに身を揺られていると、森を抜けて町の門をくぐり抜けた、その奥にはヨーロッパ風の建物がずらりと並んでいる
白く綺麗な壁と窓があり、その前に花壇なんかが置かれていて、日本とは全く違う雰囲気だった
通行人は普通に人が歩いてる感じだ、だが顔はアジア系では無い、髭ズラの良く似合う男性たちとしっかりした顔立ちの女性たちばかりで服装は白いシャツと短パンとかそんな、ラフな服装をしている
異世界ならもっと猫耳生えた女の子とか、ドワーフとかそんなんを期待していたんだが
俺はそう考えながらバスの外をボーッと眺めてると肩に何かが乗っかる感覚がした
「ほら、もうすぐで降りるぞ」
ルナはそういうと俺の肩のうえに登ってきた
「自分で歩けよ、爪くい込んで痛いんだけど」
「やだ、歩くの面倒臭い」
俺だって唐突にこんなところに誘拐されてめんどくさい状況なんだが
そんなやり取りをしていると「次はルミナリア国中央、ルミナリア国中央」とバスのアナウンスがなった
「そういえばお前の国にバスなんて通ってるのか?どう考えても場違いな気がするんだが?」
俺がそう言うとルナが
「このバスはお前が知ってるようなバスじゃないぞ、魔素を原動力として動く乗り物だ」
魔素ってなんだ
もしかしたら未知のエネルギーなのか?意外と文明は進んでいるのかもしれない
「着いたな、ここがお前を誘拐しろと命じた国だ」
すっかり誘拐したことを隠す気もないルナは肩に乗っかったままそんなことを言ってきた
落としてやろうかと考えているとバスが到着した
「おぉ!」
バスから降りるとそこはかなり人混みは多く、石が敷きつめられた広場の真ん中にはクソでかい噴水、そしてさらに奥にクソでかい城があった
青い尖った屋根と白い壁がそびえ立つヨーロッパ風のお城でいかにも貴族とか住んでそうな、そんな幻想的なお城だった
「おい、何ぼっとしてんだ、早く行くぞ」
俺が白を見て呆然と立ち尽くしていると、ルナは俺に声をかけてきた
「んでどこに行けばいいんだ?」
そういうとルナはある所に手を指した、そこは先程俺が見てた、でかい城
「えっまさか城に入るとか言わないよな?」
「自分が指した先に城以外何があるってんだ」
そう言いながらルナは城に向かって歩き始めた...
こんにちはこんばんは
暇人ゲーマー筆頭のつゆろなです
以前遊び感覚で書いた、初書きの小説を改良とか付け足したりとかして再投稿しました
ですがまだかなり不慣れだったり、文法がおかしかったりしてるかもですが、趣味で書いただけなので大目に見てやってください
もしよろしければ、気軽にレビューや感想、フォローと★をしてくれると大変喜びます!
そして!今後ともよろしくお願いします!!
次の更新予定
2024年9月21日 20:00
猫が俺を異世界に誘拐しました @tuyurona
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