猫が俺を異世界に誘拐しました
第1話 猫に誘拐されました
プロローグ
「頼む助けとくれ!」
「いやです」
少し豪華な椅子に座ったおっさんからそんなことを告げられた
「本気でやばいんじゃ、頼むよ!このとおりじゃ、今ならなんと!新鮮なココナッツから取れたエビとはちみつがけの爆発バナナが付いてく」
「誰がそんなもの欲しさに命かけるんじゃあああああああ!!」
意味わからん物で釣ろうとするおっさんに向けて思わず大声で怒鳴ってしまう
……なんで俺がこんな目に遭わなくちゃ行けないんだよぉ!
俺はこうなった原因を作ってくれたふてぶてしい猫を許さねぇ
本編
「おつかれさまでした!」
「うい、おつかれ!」
七月の暑い夏
冷房がなく、まるでサウナのような体育館の中で卓球に勤しむ高校二年生、
俺は汗ダックダクで若干湯気だった先輩に挨拶を済ますと俺はマイラケットをバッグしまう
俺は制服に着替えたあと、一刻も早くゲームがしたいので、高校を出て少し歩いた先にあるバス停を行き、スマホをいじりながらバスが到着するのを待つ
バス停周りはとても静かで、通行人はほとんどおらず、シルエットに見える街の風景と、オレンジ色のグラデーションを彩る夕暮れが幻想的で綺麗だった
スマホを見ると「17:04」と表示される、バスは来るのは五時十分くらい、それまで最近のゲームのニュースでも……
ニュースを見るまもなく「シューーーッ」という音とともにバスが到着した
あれ?いつもはもうちょい遅いんだが、今日は早いな?
俺は違和感を感じつつも、早く帰れるからいっかとバスに乗り込んだ
中に入ると、そこには誰もいない、いるのは制服では無い珍しいラフな格好の運転手ただ一人
暑いからだろうか、半袖姿の運転手なんて初めて見たが、多分これが働き方改革と言うやつだろう、知らんけど
そう席に座りながら思い
「はぁ〜疲れた……」
俺は窓際に首を置いて、流れゆく街並みを眺めながらぼーっとする
にしても……疲れたからだろうか?いつもよりまぶたが重い、今ここで寝たら絶対ダメなのは分かるんだが、想像以上に眠気が……
いつもの俺なら夜更かしなんて日常茶飯事なので、眠気には強いはずだが、何故か今日はいつもより抗いがたい眠気が襲う
いつもならこんなことないんだが……
「ゴトッ」
ふと俺は何もいないはずの後ろから物音が聞こえた気がした……しかし
「次は○○○○、○○にお越しの方は……」
俺は結局、アナウンスの声など耳に入らないほど俺は寝落ちしてしまった
意識が飛んでいる中、ふと声が俺の耳に入ってきた
「次は影の丘、影の丘」
運転手が発した、聞いたことも無いバス停の名前に俺は目を覚ます
影の丘?
意識が徐々に覚醒していくにつれ、その言葉の意味が理解出来なくなる
聞いたことない名前、まさか寝過ごした!?
俺の脳は一瞬で覚醒し、おれは慌てて窓の外を見た
すると、不安定な灰色がかった土の道を囲むように生える曲がりくねった木々、その葉っぱに遮られて日はほとんど差していなかった
は?どこだよここ、完全に町外れじゃねぇか!?
俺は心拍数が上がるのを感じながらスマホを見て調べようとする
がしかし、電波は飛んでおらず、圏外だった
やっぱり見れない、そうだよな!こういう展開はスマホ見れないですよね!テンプレだもん知ってたもん!
焦りが加速する中、ふと隣に誰か座っていることに気がついた
誰か座っている、だが、人間の赤ちゃん程度しかない大きさだ
よく見てみると椅子の上にまるくなっている黒と白の模様がある毛むくじゃらの体に、しっぽが生えていて、頭部と思われる部位には三角形の耳が生えていた
「……猫?」
えっなんでバスに猫がいる?窓から侵入してきたのか?
そう呟くと隣にいる猫の耳がピクッと動き、こちらを見てきた
青とオレンジのオッドアイで目の上に白いまろ眉がある、そして髭が長いのが特徴的な猫だ、可愛い
猫好きとしてはオッドアイは大好物だ
きっと猫を見てだらしない顔をしていたのだろう、そいつは俺を一瞥すると怪訝そうな顔で
「おう、やっと起きたか、お前もうちょい早く起きれなかったのか?バスん中で八時間も爆睡とかアホだなおまえ」
「お?なんだお前開口一番俺に対して向ける言葉じゃねぇだろ」
反射的に突っ込んでしまったが、なんで猫このしゃべってんだ、夢の国にでも来てしまったか?
「お前と呼ぶな、自分はこの自然を司る精霊、名前はルナトールだ、自分のことはルナさんと呼べ」
「なんで猫にさん付けしないといけないんだ、ってか!なんで猫が喋るんだよ!」
意味わからん、何が起きてやがんだ?目の前には可愛らしい猫一匹がいて、でもそいつなんか口悪くて、いやそもそもなんで喋るんだ、どゆこと??
そんな思考がこんがらがっている俺を無視して、ルナは表情を変えることなく真顔のまま続ける
「自分が今ここにいる理由は、お前を案内するために来てやってんだ、分かったか?」
「その説明で、はいそうですかってなる奴は人工知能並に物分り良くないと無理だろ、何がどうなってんのか詳しく説明してくんね?」
そういうとルナは大きくあくびをしたあと、バスの席でしっぽをくにゃりと動かしながら応えた
「えーっと、詳しく話すと長くなるから簡単に説明してやる、お前がここに来た理由は単純明快だ、実はこの世界にある国が深刻な人手不足でな、なんでもこの国の遠くに離れたところからわざわざ近くに魔王軍が住み着いていて、ずっと攻め続けられてるんだ、だから他の世界から人持ってくればよくね?って事でお前をここに連れてきたって訳だ、だが連れてきただけじゃそいつが可哀想だから自分がお前の使い魔として手助けしてやろうという話になったって訳だ」
……全然簡単に説明できてないから俺がまとめるが、つまり
「国が人不足だから誘拐しちゃった★」
って事だよな
「……それ誘拐ですよね」
「違う、これは人手が足りない故の止むを得ない手段を取っただけであって」
「誘拐だろ!おい!どう考えても超えちゃいけないライン超えてるだろ!」
俺はそんなバカことを言うこいつに怒鳴っていた
こいつマジで言ってんの?国とやらは連れ去られた人の気持ちなんて頭に無いのか!?
「大体なんで俺はいきなり連れてこられてその国とやらを助けなきゃなんねぇんだよ!無理だろ普通そんなの!」
俺がそう言うとコイツは
「自分だってこんな誘拐まがいなことしたくは無いんだ、だがこれは国の命令、そうこれは不可抗力と言うやつで」
「俺その国関係ないだろどう考えても!!」
面倒くさそうな表情で猫は舌で毛繕いをしながら言ってきた、うぜぇ
「ふざけんなよ!帰して!とにかく俺はお前の世界に行くつもりは無いし、明日は土曜日で待ちに待った休みなんだよ、ゲームで夜更かしする予定だから早く帰してくれ」
そういうと猫はあくびをしたあと首を横に振り
「残念ながらこっちに連れてくることは出来るが、帰る方法は無い」
……は?いまなんつったこいつ
理解出来ない、いや脳が理解したくないと判断したのか、俺はこいつの言ったことが分からないのか
嘘だよな?帰る方法は無い?それってどういう……
いや待てよ、だいたい行きが出来たんなら帰りもできるだろ
そんなことを考えている俺に、その猫は俺の思考を見透かしたかのように答える
「行きができたんだから帰りもできるだろとか考えていそうだから言うが、お前に使った魔法は、別世界からこの世界にテレポートする魔法だ、よってお前は帰ることが出来ない」
そんな舐め腐った態度を取りながら、無責任に言い放ちやがったルナとかいう猫に対して
「おま!ふざけんなよォォォォォ!!!」
俺は怒鳴りながら、さっさとこんな国滅べばいいのにと思った
こんにちはこんばんは
暇人ゲーマー筆頭のつゆろなです
以前遊び感覚で書いた、初書きの小説を改良とか付け足したりとかして再投稿しました
ですがまだかなり不慣れだったり、文法がおかしかったりしてるかもですが、趣味で書いただけなので大目に見てやってください
もしよろしければ、気軽にレビューや感想、フォローと★をしてくれると大変喜びます!
そして!今後ともよろしくお願いします!!
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