第9話 マッドサイエンティストな仲間が出来ました②

後ろからカサカサっと音がする……

 おっと、早速お出ましか!俺は腰に掛けていたダガーを取り外し、それを持って構える、すると

 ぷるん!早速出てきたモンスターはまんじゅうのような形状をしていて、若干青みがかかっており、ぷるぷるした小さいモンスター

 俺はそれを見て興奮した

 何故ならそれは日本人なら9割は知っているであろうメジャー中のメジャーモンスター、スライムだったからだ!!

 最初の敵といえばやっぱコイツだよな

 俺はそう思いながら近付くとルナがいきなり「離れろ!」と叫ぶ

 なんでだ?たかがスライムだぞ?

 そんな思考がフラグになったのか、そのスライムに変化が訪れる、その小さかったスライムはたちまち大きく膨れ始め、最終的に数十倍にも膨れ上がった


「はぁ!?なんなんだよあれ!スライムってのは、最序盤に戦う雑魚モンスターじゃないのか!?」


 俺がルナに向かって逃げながら言うと

「そりゃどこ情報だ、そんなに雑魚ならとっくに狩り尽くされているだろ!」


 俺は改めて、このバカでかいスライムを見ながら、この世界の厳しさを知ることになった

 こんなん正面で戦う相手じゃねぇだろ!


「おいルナ!どうすればいいんだ...って何してんの、おい!どうしたんだよ!」


 見ると、ルナは目を閉じてブツブツと何か言っていた

 俺が必死に呼び掛けても一向に反応する様子がない、生きるのを諦めちまったのか!?

 するとクレアは驚きながらもルナを見て言った


「和也さん!ルナさんからおぞましい量の魔力を感じます!恐らくルナさんは魔法を使おうとしてるんだと思います!」


 なるほど、だとしたら必殺技みたいなのをぶっぱなすわけか、ただこれ予備動作に相当時間かかるやつじゃないのか?

 そんなことを思っていると、そんなルナに対して危険を感じ取ったのか、いきなりスライムが近付いてきた

 マジか!俺は短剣1本でこいつ相手に時間稼ぎしないといけねぇのか!


「クレア、何とかして時間を稼ぐぞ!」


「はい!」


 そういうと俺らはルナの前に立ち、守るように構える

 するとスライムは触手のようなものを伸ばし、鞭のように思いっきり俺らに向かって振りかぶってくる


「ぬお!?」


 俺は咄嗟に短剣を構え、運良くその触手を切ることは出来たが、あまりの力強さに短剣を持ってかれそうになり、腕がシビシビする

 だがこれでわかった、これ当たったら死ぬやつや

 スライムは何ともないかのように切られたところを再生し、また触手攻撃を繰り出そうとしている


「ぬあッ!!」


 案外はえぇ!

 俺の頭上めがけて飛んできた触手をかろうじて横に飛び込んで避けた

 すると触手は地面に当たり、地面がひび割れた

 俺が避けたのもつかの間、すかさずスライムはまた俺に向けて打ち付けてようとする

 対して俺は飛び込んだ後で、地面に伏している無防備な状態だ

 ダメだ避けられねぇ!!


「喰らえ!」


「!?」


 横からクレアの声がすると、そのスライムに対してポーションごと毒を投げる

 するとポーションは割れ、スライムはじゅうじゅうと音を鳴らし、スライムの一部が蒸発して、俺に向けた触手の動きは止まった


「なっ!!」


 しかしその攻撃は致命傷とは程遠く、あんまり効いていないようだった

 するとスライムは怒ったかのようにクレアに向かって触手を打ってくる

 こんな奴に近付くのは怖いが、俺はそのチャンスを逃さず、勇気を振り絞ってスライムに間合いを詰める

 そして俺は夜中密かに考えていた必殺技を試してみる事にした

 俺は短剣に対して魔法を放つ


「『ライトニング』!!!」


 すると短剣は金属製なのでバチィっと音を鳴らしたあと、電気を帯びる

 そしてスライムに対してさらに魔法を使う


「『ウォーター』!」


 そして俺はその電気を帯びた短剣を水がかかった部位にぶっ刺した!

 するとスライムはバチバチィっとかなりでかい音を立て、水がかかった部位と、奥まで短剣を突き刺した所が一瞬にして焦げた

 スライムに痛覚があるのか分からないが、その意外な攻撃に対し、スライムは仰け反り後退する


「おい!よく耐えたな、準備出来たぞ!!」


 そういうとルナの上には葉っぱを纏うでかい渦が出来ていた

 それをルナがスライムに放つと、それはスライムに直撃に、中までくい込んで爆発した

 爆発したスライムは周囲に破片を撒き散らして、たちまちそれは蒸発していく

 さすがは腐っても精霊だな

 ...てかそれ使えるなら前の魔王軍もそれで助けてくれたら良かったのに...

 にしても、一発目からこんなんかよ、初心者とかまともにレベリング出来ないんじゃないか?


「なぁ俺もう疲れたんだが」


「初っ端スライムとは運が悪かったな、だが自分がいるからには安心しろ、この調子でレベル上げしていくぞ」


「俺時間稼ぎで死にかけたんだが???」


 ルナがいてこんな近隣の森で苦労するなら、もう諦めて宿に引きこもってぐうたらしていたいんだけど

 そういえばクレアは大丈夫だろうか

 隣を見てみるとクレアがいた、しかし何かをブツブツ言っている


「わわ、私の毒が全然効いていなかった...あんなに研究を積み重ねてきた上の自信作だったのに...」


 どうやら投げつけた毒はかなりの自信作だったらしく、あんまり効いていない事にショックを受けていたらしい


「お前は良くやったさ、とりあえずもう帰ろうぜ、こんな状態じゃ続けられないだろ」


 俺はクレアを慰めながら街へと帰ることにした


「スライムコア1個で15万ベルですね」


 俺は様々な冒険者が集う、ギルドみたいな所に来ていた

 椅子や机がズラリと並び、真ん中に掲示板、その奥に受付という感じだ

 酒が売られていて酒屋としても機能してるため、かなり酒臭い

 俺は先程倒したスライムから得たコアを売ろうと、取引してもらったところだ

 俺は受付の人から、5つの金貨を受け取って

 さっさと帰ることにしていたが


「すみません、仲間を募集していると聞いただけど、空いてるかしら?」


 あれ?募集の紙なんて貼ったっけ?

 俺はそう思いながら声の主を見ると、そこには俺と同じくらいの身長の水色髪が特徴的な女性がいた

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