第26話 地下帝国
フェンリル国の問題?
一体なんなんだろう、どうせ厄介事なんだろうけど
ラピスラズリは問題について話し始める
「現在私たちの国は、深刻な水不足なのです」
「水不足?」
でもここから五百メートル先に川があった気がするが
そんな俺の心の内を読んだのか
「今までは五百メートルさきの川から水を桶で運んでいたのですが、ウルフの増加で間に合わなくなりましてね」
なるほど
「それで、それを解決していただければ黄色草をくれるということだな?」
「左様です」
ということは水道を作ればいいってことか?
「それでいいのならやるぞ」
「ホントですか!」
ラピスラズリは青く澄んだ目を輝かせてルナに迫りよる
「ああ、要するに水道を通せということだろ?なら楽勝だ」
「助かります!こういった力仕事はあいにく不器用なウルフ達では何年もかかってしまいますからね」
そう言ってラピスラズリは北に向かって歩き出す、そして後ろを見てまた前に進む
確かその先は洞窟がある
どうやら「こい」ということらしい
しばらく歩いていると、洞窟が見えてきた
人間も余裕で入れるくらい広いこの洞窟は大通りくらいの幅だ
そして壁に穴が空いており、そこにはウルフがいた、多分これが家なんだろう
奥に進んでいくとその洞窟はさらに下に深く、大きくなっていく
松明が壁に立てられて、その暖かな光が雰囲気を出している
そして奥に進んでいくと、かなり広い空間に着いた
自分たちがいるのはかなり高く、それを見渡せる所にいる
「凄い、多分これが私の出身地なのよね、昔だから覚えてないけど多分ここに住んでたのよね」
そう言ってリリスが驚いた
リリスが驚くのも無理は無い
広い……かなり広い、地下帝国だ
中心には岩作りのかなり巨大な柱が立ち、それを中心に橋がそこらに吊るされが張り巡らされ、家も立っている、町一つ分の大きさだ
明かりはクリスタルが街灯として使われていて明るい
「な、なんだこれ、これどうなってんの?俺もっと入り組んでて狭い、そんな洞窟だと思ってたのに」
あまりにも幻想的すぎる地下帝国に驚いてると、ラピスラズリは説明する
「ここに来た時には既にこんな感じの建物ができていたそうなのだが、何故か誰もいなかったのです、それで我々はこのまま住み着きました」
多分元々はそこに悪魔が住んでいたんだろう、しかし悪魔がいなかったって、どこに行ったんだろうか?
「とにかく凄いなこりゃ、良くも悪魔たちはこんなもん建てたもんだ」
ルナが目を丸くして眺めながら言う
「とりあえず降りましょう」
そう言って階段から降り始めるラピスラズリ
「なぁ、これ二日以内に水道繋げれんの?」
俺がルナに言うとルナは
「水道は入り口までにして、上から滝みたいに流してやって水汲み場にすればいいんだ、しかし確かに川は近いが、こりゃ桶でこの階段を往復して生活なんて無理だな」
だよなぁ、恐らくここの階段は五十メートルはある
こんなん往復とか無理だよな普通
「とりあえずフェンリル様に挨拶しましょう、水の問題を解決したら黄色草を貰っていいか聞きましょうか」
「ああ、そうだな……にしても長すぎるだろ階段、俺上がりたくないんだが」
螺旋階段が終わる気がしないほど途方に長い
「なぁ和也、肩乗ってもいいか?」
「やだよ、ただでさえしんどいだろうに、お前抱えて上がるとか死ぬわ」
「もうすぐだな」
螺旋階段が終わると、俺らはあまりの規模に再度驚いた、近くで見ると、ルミナリアと変わんない、むしろこっちの方が大きそうだ
「こっちです」
そう言ってラピスラズリは中央の柱に向かって歩く
「えっこれ直径幾つあるんですか、まさか歩くんですか!?」
少し疲れている様子のクレアが恐る恐る聞く
「大丈夫です、ここには地下鉄があるので、そこから行けますよ」
地下鉄!?えっ電車ってことか!?
異世界に電車があるってどういう事だよ
「なぁ、それって電車だよな、なんでここにそんなもんあるんだ?」
俺の質問にラピスラズリは
「電車?地下鉄は地下にある鉄車の事ですよ、元々ここが地下ではありますけど」
そういえば電気無いんだったな、ここじゃ鉄車って言うのか
すると、ラピスラズリは地下鉄の入り口に入り下っていく
俺らも降りると、降りて直ぐに、改札や券売機もなく、駅のホームになっていた
壁は岩だが、それ以外はまじで日本の電車と遜色ない
なんでここまで日本とこの世界が似ているところがあるんだ?過去に何かあったのか?
そんなことを考えていると、横から「ピーーーーー」という音が鳴り、電車、もとい鉄車が到着する
見た目も、錆ているが電車とほぼまんまだ
中にはリトルウルフ達が座っていて、中には丸まって寝ている子もいる
「すごいな、なんでたまに地球の文化がこっちでちらほらとあるんだ?なんか関係あるのか?」
そう呟くと意外な事に反応したのはラピスラズリだった
「地球?地球ってこの世界でたまにいる『地球人』が元いた場所のことですか?」
「え?」
ラピスラズリの言葉はここに来てから俺にとって、一番衝撃的だった
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