第22話 努力の結晶③
黄色草のクエストを受けてから4日が経過した頃、俺は近況報告を受けていた
ルナ達曰く、一応弾薬は撃てるのだが、爆発ポーションの威力が高すぎるのと、精度を上げることに苦戦しているとの事
そもそも、先端に毒を取り付けて打ち上げれる前提で作られていたので、普通の弾薬で撃とうとすると、どうしても構造上口径がでかくなってしまい、反動で肩が壊れるらしい
なので現在は口径を小さくした単発ライフルの制作に励んでいる
そして現在俺たちはクレアに「もう少しでできますから来てください!」と研究所の休憩室で待たされていた
「一時の思い付きで作ろうとか言い出したが、意外と作ろうと思えば作れるんだな」
この世界の技術力を舐めていた、この世界は魔法が使えるから遠距離武器なんて要らないという思考だが、作ろうと思えれば意外と作れてしまうのだ
「にしても、あなたの国はかなり野蛮なのね、あんな広範囲に毒をぶちまけるなんて」
「勘違いすんなよ?あんな武器知らない、あれはアイツらオリジナルだ」
リリスが、あの一件を見てから俺の世界に対して勘違いをしているのか、若干怖気付いている
「大体、なんで作ろうと思ったの?魔法使えばいいじゃない?」
この国で銃なんか見せつけても大体はこんな反応をする
「クレアにも言われたが、魔法が使えない人でも、誰でも使えるんだ、そして威力もうちの国のお墨付きだ」
そう言うとリリスは驚き
「ってことは私でも使えるってことなの?」
「おう、お前でも使えるだろうよ」
そう言うとリリスは「ついに私とパンも遠距離に対応出来るのね!」と嬉しそうにしていたが、パンは無理だと思う
そんな会話をしていると突如休憩室の扉がバンと開けられる
「ついに出来ましたよ!!私の脳内シュミレーションで試して見たところ問題ありませんでしたよ!」
そうクレアが興奮した様子で言ってきた
「なぁ、確認だが、勝手に毒で変なことしてないよな?」
「だ、大丈夫です、今日はしっかり設計図通りに作りましたから、だからこっちをじっと見るのやめてください!」
俺がじーっとクレアの目を見て圧をかけて言うと、クレアが目のやり場に困りながらそんなことを言うが、一応心配なのでルナにも聞く
「……なぁ、ほんとに大丈夫だよな」
「任せろ、今回は大丈夫だ」
ルナがそう言うんなら、きっと間違いないんだろう
「なら早速テストしてみようぜ!これが上手くいったら、洞窟の連中もシバけるかもしれない!」
そう言いながら俺らは、いつもの草原に行くことにした
「これです、使い方説明しますね」
そう言うとクレアは俺に銃を渡す、見た目は前回とあまり変わらないが、バレルの太さは細くなっていた
銃を持つと、確かな重量感が感じられる
「まずはボルトを引き、中に弾薬を入れてボルトを戻します、そして引き金を引けば打てますよ、試して見てください」
そう言うとクレアは弾薬を渡す
前みたいなでかいガス爆弾ではなく、みんながゲームでよく見る形だった
早速俺は、ボルトを引いて弾をねじ込み、ボルトを戻す
「そういえば、これ試し撃ちしたりしたのか?」
俺がそう言うとクレアは
「前に一度、試し撃ちをしたんですけど、そしたら同僚に「うるさい」と怒られまして……」
こいつ研究室でぶっぱなしたのか?バカなのか?
「というか、あいつら酷いんですよ!私が銃の研究をしていたら、同僚が『なんでそんなの作ってるの?魔法で良くない?』とか言い出しやがりましてね、旨を話してもバカにしてくるんです!」
やはり魔法がある異世界、魔法が使える人にとっては、銃の存在意義は薄いらしい
クレアはその事を思い出したのか、少しイライラしながら俺に言う
「それはもういっぱい苦労したんですよ!精度を上げるにはどうすればいいか、ポーションの量の調整とか、ライフリングを施したバレル制作とか!だから私の研究をバカにしたあいつらをぎゃふんと言わせてやるんです、もしこれが成功して、存在意義を証明出来たら奴らに自慢して鼻で笑ってやります!」
相当腹が立っていたのか、俺にそんなことを言ってくる
「そんなこと言われなくとも、異世界に現代兵器を持ち出したら無双できるって相場が決まってるんだ、任せろ」
そう言うと俺は草原にいるターゲットを探す
しかし、今更気づいたが、草原にはもう生き物がいなかった
「そういえば昨日やらかしてから生き物全部死んじゃってたわね、まだバレていないけど、結構ニュースにもなって犯人探しが行われているわ」
「まじかよ」
まぁそりゃ辺り一帯の生態系丸ごと潰したとなれば、大事になりますよね
「となるとどうしましょうか、誰を実験体に……」
そう言いながらコイツは俺の方を……
「おい嘘だよな?流石にないよな?」
「なっ、何勘違いしてるんですか、流石にやるわけないでしょう!」
あらぬ勘違いをされたクレアが俺に食ってかかってくる
「んじゃあそこら辺の木にでも撃ってみたらどうだ?」
「そうするか」
俺はルナの提案を聞き入れ、木に照準を合わせる
そして俺は引き金を引いた
パァァァァンと肩にかかる衝撃と、なにか破裂するような音に近い銃声と共に弾頭は、木の中にめり込んでいた
「おお!今回はかなり思った通りの出来だな、これで行けば多少のモンスターならやれる気がする!」
意外といい出来に俺は感動していた
「おお、これがあなたの国の武器なのね、ここまでかなり威力がある武器は初めて見たわ!」
リリスもその威力と出来に感動しているようだ
「あとはコイツを人数分用意出来ればいいんだが、時間が無い、行くなら明日からにでも行った方がいいな」
そのルナの言葉に
「だな、明日は、この武器を持ってアスカラ国に行って、黄色草をゲットするぞ!」
俺は、迫り来るタイムリミットに向けて、今日は早めに寝ることにした
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