第6話 猫に誘拐されました⑥

ドォォォンッッッ!!!

 朝の5時くらいに、寝ている俺の耳に外から盛大な爆発音が入り込んできた


「何だ何だ!?また敵襲か!?」


 俺もうだいぶ活躍したし、まだ休んでいたいんだが!?

 すると俺の声で起きたのか、いつの間にかルナは昨日買ったクッションの上で欠伸をして


「ふぁ〜...何慌ててんだ、歯磨きしてるだけだろ」


 は?

 そんな意味のわからないことを言ってきた

 寝ぼけてんのか?ルナの言ってる意味が全くわからないのだが

 すると

 ドォォォンッッッ!!!

 また爆発音が聞こえてきた


「なぁ何が起こってんだ?」


「だから歯磨きしてるだけだろ」


「なんかヤバいもんでも食ったか?」


 何言ってんだこいつみたいな顔で見てくるルナが腹立たしいが、とりあえず俺は顔を洗うために洗面台に向かった、すると洗面台にはビー玉サイズのシャボン玉のような膜の中にキラキラした紺色の蠢くものが置かれていた


「なにこれ」


「見てな、これを口に入れてだな」


 そういうとルナはそれを思いっきり噛み

 ドォォォンッッッ!!!

 先程の轟音が、ルナの口の中から鳴り響いてきた


「こうやって使うんだよ」


 真っ白な歯を見せつけてくるルナを見て、困惑しながら俺も、ルナに習ってそれを噛んでみる

 すると先程の爆発音とともに歯がスッキリした

 ???

 これがこの世界の歯磨き...どういう原理なんだ?


 ひとしきり爆音が鳴り響いたあと、朝ごはんの時間になり、メイドさんが俺の部屋まで料理を持ってこう言った


「こちらキャビアジャムと食パンでございます、この食パンは採れたて新鮮なため、暴れますので怪我をしないよう注意して下さいね」


「バカにしてんのか」


 パンが暴れて怪我?なにこれ、俺もしかして遠回しに馬鹿にされてんのか?

 そんな、メイドさんが言った訳の分からない言葉に嘘かホントかで悩んでいるとルナが言った


「食パンは野生で取れる動物で、6枚に切っても活きがいいとまだ活発に動くんだよ」


 そしてルナは、確かにうねうね動くきしょく悪い食パンを爪で引っ掻いて大人しくさせたあとキャビアを塗って齧り付いていた

 なんでパンうねうねしてんの、食べたくないんだが

 しかし、ルナが美味しそうに食べるので、俺も真似して食パンに手をつけようと...

 したところで食パンがひょいと俺の手をかわした


「なっこいつ!!」


 切られてるくせに器用に逃げて、ちょこちょこしてうざい

 するとルナは何してんだと呆れた表情をしながら、素早く動いて食パンをキャッチ、そして爪で引っ掻いたあと俺に渡してくれた

 なんで俺はパンに舐められなきゃ行けねぇんだ

 俺はそんな、腹立たしくもきしょく悪い食パンにジャムを塗って食べ、朝ごはんを済ますと暇なのでルナに色々聞くことにした


「俺そういえば昨日モンスター爆発させたじゃん、ならレベル上がってると思うんだよ、確認する方法あるのか?」


 そういうとルナは頷き


「あぁあるぞ、確か引き出しに無料で使える鑑定紙があったはずだ、それを取ってみろ」


 引き出しを引くと付箋みたいなのがあった

 これを試しに自分の腕に当てて見る

 すると「レベル8」と「スキルポイント7」という数字が浮かんできた

 どうやら昨日の爆発で加算されたらしい

 俺ポーション投げただけなのにどうやって加算されてんだ?

 てかすごいレベル上がってるな、そう思っているとルナも鑑定紙を覗いてきて


「お前もうそんなレベル上がったのか?」


 目を丸くして驚いているルナを見て、やはり俺は大幅なレベルアップに成功したらしい


「これで魔法使えたりするのか?」


 そう俺がワクワクしながらルナに尋ねると


「初級の簡単な魔法なら覚えれると思うぞ、魔導書を開いて覚えたいスキルの名前をなぞると、スキルポイントを消費して習得できるんだ」


 マジか、案外簡単に習得できるんだな、俺もついに魔法使い...!!!


「その魔導書ってどこにあるの?」


「魔道具店にあるんじゃないか?付いてこい」


 そういうとルナは歩いていったので俺も着いていくことにした


「ここだな」


 宿を出てすぐ隣に古臭い看板に魔道具店という文字が書いてある店があった

 ここは木造でできており、年季が入った感じがする、そしてここの扉は横にスライドしてガラガラなるやつだ

 俺は早速その扉をガラガラと開けた

 そこは案外狭いが、目の前の棚には、稲妻が保管されたオーブみたいな物と、青色の綺麗な石など、様々な魔道具が置かれていた

 古臭いながらも、雰囲気が醸し出されるその店内に感動していると


「おい、魔導書の棚あったぞ」


 ルナはそう言って、入り口のすぐ横を指す

 見てみると、「回復スキルの魔導書」や「剣士スキルの魔導書」など、様々な魔導書がビッシリと置かれている棚を発見した


「えーっと、お、これじゃないか?」


 そう言って俺が取りだしたのは1冊の「魔法スキルの魔導書」だ

 当初の目的である魔法は恐らくこれで獲得出来るはず

 ルナに見せると「それだな」と頷いたので、俺は早速店の店員に会計を済ませてもらうと、宿で習得する事にした


おお!

 宿につき、魔導書を開くと目次が書かれており、そこには初級魔法、中級魔法、上級魔法、爆発系などが書かれていた

 初級魔法だから5ページか

 開くと、金色で書かれたファイヤーという文字とコスト1、その魔法の説明がビッシリと書かれている

 ルナはそれを覗き込みながら


「その金色の名前をなぞると習得できるぞ」


 と教えてくれたので俺は早速習得することにした

 金色で書かれたファイヤーという文字をなぞると、その文字が紫色に妖しく光り出す

 そして俺の周りを紫色のオーラで包み込み、やがてそれは俺の中心へと吸収された


「これで俺はもう魔法が使えるのか?」


「おう、習得できたはずだ」


 この世界に来て、ついに俺も魔法デビュー!

 心躍る気持ちを抑えつつ、とりあえず他の、初級の中でも汎用性が高そうな「フリーズ」「ライトニング」「ウィンド」「ウォーター」魔法を次々と習得して行った

「これでだいたい5ポイント消費したのか、この調子だとすぐ無くなりそうだな」

 俺は早く魔法を打ちたいので、人目のない公園に行くことにした

 そこは人が少なく、木のベンチとただ硬い砂の地面が敷いてあるだけの公園だ、的は無いが、俺は地面に向かって、人生で初めての魔法を撃つことにした!!

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