第18話 折角なので、観光します③
そいつは確か魔王軍の襲撃があった時にリーダー格として居たヤツだ
なんで人里にこいつがいるんだよ!あいつ魔王軍の幹部みたいなやつじゃなかったっけ!?
こんな所にいたらやばいんじゃないのか?
俺は小さい声で耳打ちする
「なぁ、なんでアイツがいるんだよ、ここに居ると危ないだろ、人里だぞ?」
「見ろよ、なんかコソコソしてるぞ、多分あれは破壊工作やなんかをしようとしてるんだろう、しかし本人はあれで隠れているとでも思ってんだろうか?」
ルナがそう言う、確かに木箱に隠れたりサササッと建物の壁に潜んだりしているが、目立つ角や赤色の髪の毛でバレバレである
「どうしますか?このまま忍び寄って毒でもなげつけてやりますか?」
「お前血も涙もないな、てか今日はもう寝たい気分なんだ、警察にでもチクって連行すればいいんじゃないか?」
そう言うとクレアは
「ダメです!それじゃ報酬があまり期待できないじゃないですか!倒して賞金を取りましょうよ!このままでは研究の費用が払えません!」
そういえばこいつ、ギャンブルで有り金全部溶かしてたな
研究出来るほど頭いいならなんで考えなしに百万なんか突っ込むんだ
そんな話をしていると、赤髪は片目だけを壁で隠してこちらを見ている
あれで隠れているつもりなんだろうか
「とりあえず今日は目を合わせないようにしようか、明日やればいいんだ」
「その魔性の言葉は新聞で信用しては行けない言葉ランキング一位に乗ってましたよ」
この世界、新聞とかあるんだ
「多分今目を合わせたら爪たてて襲ってくるやつだぞ、ここは気づいてないふりをして、警察に通報が無難だ」
「むう、仕方ありませんね」
俺は未だに「誰だっけ……」と呟いているリリスを引っ張って逃げるように警察署に行った
「ふぅ、もう外にゃ出たくないな」
俺は付近に魔王軍関係者が居るとチクったあと、宿に泊まり、宿のオーナーが持ってきてくれた「人参のストレスホイル焼き」を食べていた
どうやら野菜はストレスをかけるとピリッとスパイシーになるらしい
意味がわからないが美味しいのでこの際どうでもいいものとする
そして基本的にはどの宿も同じ間取りだが、ここは綺麗な観葉植物と見晴らしのいい窓があった
「はぁ、連れて来た自分が言うのもなんだが、この世界はかなり危険なんだな」
「ほんとにお前が言うなよ、この世界に何度殺されかけたか……」
赤髪にライトニングで感電させられかけたり、スライムに食われそうになったり、ゴブリンに刺されたり……
1日1回死にかけているこの状況は本気でどうにかできないのか?
「いっその事、農家でもしてのんびり暮らすか?」
「それもいいかもな……爆発しない果物や襲ってこない野菜なら育てられるだろうからな」
逆に爆発する果物や襲う野菜とかあんのかよ
ここに来る前に見たライトノベルも野菜が襲ったり、秋刀魚が畑から生えたりしているのを見た事があるが、どの異世界の野菜もこんなんなのか?
「つか、ルナはこの世界に生まれてどれくらい経つんだ?てか何歳なの?」
そう聞くとルナは
「自分はまだ生まれたてホヤホヤだぞ、多分まだ2年くらいしか経ってないな」
「そうなの!?」
てっきり精霊って言うもんだからものすごく長い年月がたってるもんだと思ってたんだが
「だからこの世界のことはまだ常識しか分からないんだ、あんまり期待しない方がいいぞ」
「つまりは俺の方が年上だったんだな、お前が年上だと思ってたよ」
「そうだな、お前は自分より年上なら、年下の自分をもっと甘やかして、怠惰に過ごせるよう楽させてくれ」
「勝手に連れて来た詫びとしてお前は俺に着いてくことになったのに、なんで俺が世話しなくちゃなんねぇんだよ」
そんなことを言いながら、俺は食器を机の上にあるお盆に置いて、勝手にこんな世界に連れ戻した自分勝手な猫姿の精霊を囲うようにベッドで体を丸め、眠りにつくことにした……
ドォォォォォォン!!!
「ダァァァァ!もう少し寝かせろや!なんでこの世界は毎度毎度!朝になると爆発音が鳴り響くんだァァァァァー!!!」
「お前の方がうるさいぞ、朝っぱらから歯磨きに文句言ってる奴なんかお前しかいないぞ」
「お前はなんとも思わないのか!?朝に毎日口爆発させて洗うってどう考えてもおかしいだろ!!」
ルナは朝からテンションが高い俺をめんどくさそうに見て
「お前の国では知らないがここではそれが普通なんだ、早めに慣れるしかないな」
毎朝五時に爆発音聞かされる世界とか、それだけで一生かかってもこの世界に慣れる気がしない
「今日は作戦を考えてきたんだ」
アスカラのギルドで俺はメンバーにそう告げる
「作戦ですか?どんな作戦ですか?」
「俺の国の武器を作るんだ」
「「和也さんの国の武器?」」
リリスとクレアが俺の言葉にハモる
「クレアは兵器を作れるほど頭がいいんだろ?なら俺の国で使われた武器も再現できるのではと思ってな」
良くファンタジー系のラノベを見ていて思ったんだ、現代兵器を持ち込めば無双出来るんじゃね?と
もし上手くいったならば、この異世界も無双できてあの赤髪にもビビる心配もない!
「ですが和也、私は魔法が使えないので高度な加工技術は無いですよ?」
「そこは自分に任せてくれ、魔法ならある程度は使えるからな」
いつも食っちゃ寝してばっかのルナだが、さすがは精霊だ、こういう時は頼りになる
「とはいえ、何を作るんですか?いきなり兵器を作るって言ってもわかんないんですが」
俺はその言葉を聞くと、俺は自信満々に答えた
「作るのは『銃』だ!」
皆さんおはようございます、久しぶりの後書きです
この度エピソード18を見ていただきありがとうございます!これも皆さんの応援やコメントあってのものです、初めて書いてくださったコメントや、この先ゆっくり読んでいきますとコメントしてくれた方、皆さんのおかげでモチベーションも上がりこうして続けることが出来ています
なので、もしよろしければ、こんな小説を少しでも応援して下さると嬉しいです!
そして改めて、ありがとうございます!!
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